矢野顕子 40th Anniversary 第1弾“ふたりでジャンボリー”5連続ライブレポ!1日目 ゲスト:石川さゆり、上妻宏光
「PERFECT HUMAN」で大ブレイク!オリエンタルラジオの2人がRADIO FISHを語り尽くす!

オリエンタルラジオ[左:中田敦彦、右:藤森慎吾]
「PERFECT HUMAN」の大ヒットで一躍有名になり、5月25日にはこの曲を含む1stアルバム『PERFECT HUMAN』を発売するRADIO FISHとは、オリラジことオリエンタルラジオ(中田敦彦、藤森慎吾)と中田の実弟でダンサーのFISHBOYとShow-hey、SHiN、つとむで構成された6人組のダンス&ボーカルグループだ。お笑いコンビのオリラジはデビュー直後に“武勇伝”でブレイク、そのあと人気が低迷したと思ったら藤森が“チャラ男”、中田が“インテリというキャラ設定で再ブレイク。そんな彼らが、今度は新しくダンス&ボーカルグループまで結成して「PERFECT HUMAN」で3度目のブレイクを果たし、8月26日には東京・赤坂BLITZのステージに立つ。なぜ彼らは音楽フィールドへと舞台を移してもブレイクできたのか。お笑い、音楽シーンとフィールドが変わっても共通している彼らのイズムとは。オリラジの2人がRADIO FISHを語り尽くす。
インタビュー/東條祥恵
──ズバリ、「PERFECT HUMAN」でブレイクして、いまの心境はいかがですか?
藤森慎吾 すごく充実感がありますね。結成12年目ですけど、今まで経験できなかったことをさらに経験できてるというのは、この仕事をやっててよかったなと思います。楽しいです!!
中田敦彦 もちろんこうなりたくて頑張ってたんですけど。最初に音楽ユニットを作って、始めてからここまでは大変だったんですよ。「PERFECT HUMAN」を作るまでに5曲作ってますからね。それをやっていくなかで、音楽ライブで人を集めることも、音楽番組に出ることも結構大変なんだと思ってたんです。僕らは最初、よしもと(所属事務所)からも「何をやってるのか分からない」といわれて、まったくご協力頂けなかったんですよ。先輩からも「そんなことやって意味あんの?やめちまえよ」といわれ、どんどん疲弊していってたところで「PERFECT HUMAN」でいっきにドアが開いたので、ものすごく驚いてはいますね。
──しかも今回の舞台は音楽シーンですから。
中田 例えば、同じテレビでも音楽番組に出たときは「動きのフォーメーションが分かるVTRを下さい」とか、いままでいわれなかったことをいわれる訳ですよ。こんな新たな世界があるんだというのを経験させてもらってるので、単純に「人生ってこんなことが起きるんだ。面白い」と。それが素直な感想です。
──RADIO FISHはお笑いではなく、音楽ユニットという捉え方でいいんですよね?
中田 そうです。でも、そこのエクスキューズは難しくて。ぶっちゃけていうと、お笑いっていう方が角が立たないんですよ。「僕はアーティストです」というのはみんなすごく嫌がる。「お前ごときが」といわれるんです。なので「お笑い芸人のネタです」というほうがみんな食べやすいんですね。だから、それをいったほうがいいなと僕は思ってます。RADIO FISHというのはどう見たって音楽活動をしている音楽ユニットなんですけど、「PERFECT HUMAN」は楽曲ではなく音楽ネタであるとこちら側が主張したほうが、みなさんが食べやすいかなと思ってそういっているんですけど。でも、やっている活動は音楽ユニットです。
──ということは、これをオリラジの新しいリズムネタと受け取られてもいいし、純粋に音楽ユニットとして受け取って貰っても構わないということですね。
中田 ええ。ご自由にどうぞ。とにかく楽しんでくれればいいと思ってます。
──そもそも何でこのような音楽ユニットを作ろうと思ったんですか?
中田 まず、RADIO FISHを結成できたのは弟のお陰なんです。FISHBOYというダンサーをやってる弟がいて、その弟に「音楽ユニットやりたいからダンサーを集めて」といったのが始まりですから。そもそも何で音楽ユニットをやろうと思ったかというと、元々我々が出てきたのは“武勇伝”というリズムネタでした。リズムネタというのは後からいわれ始めただけで、僕らが“漫才”をやったらああなってしまっただけなんです。
──当時リズムネタという言葉もなかったですし、それを狙ったものではなかったんだと。
中田 そうです。リズムネタでブレイクしても、漫才をちゃんとやらないと正統な芸人としては見てもらえないんですよ。それに苦しんで、何年か漫才に挑戦したんです。でも、ないものはないんです。才能が。そこで漫才に向いてないことが発覚して。なのに、なぜ僕らは漫才で世に出てきた人たちと一緒に仕事できてるのかと考えた結果、「すごく音楽性が高いんだ」と思ったんですね。じゃあそれを極めようと思って、2013年ぐらいから音を使ったネタをたくさんやっていったんです。そこで「これは人数がいたほうがもっと音楽性が高められる」と思ったんですよ。お笑いのネタで使われる楽曲って古いんですよ。
──あー、わかる気がします。
中田 音楽業界から見ると7〜8年遅れてるんです。僕はそれも嫌だなと思っていて。ダンサーを入れて、もっと音楽としていまっぽいカッコいいものができないかなと思ったんですよね。
──音を使ったネタをやってらっしゃった頃も東方神起の「CATCH ME」をすぐコピーしたりしてたじゃないですか?そういうものがすべてRADIO FISHへと繋がっていった。
中田 ええ。それをやった結果分かったんです。僕、YouTubeで僕らの何が一番再生回数が多いのかを調べたんですよ。そうしたときに、他の芸人さんは芸能番組に出たときの漫才ネタが上位にくるんです。僕らも1年に1回は演芸番組で漫才をしてるんですよ?ところが、僕らの再生回数のトップにくるものはネタじゃなかった。音系、歌系の企画でバラエティーに出て東方の「CATCH ME」やWORLD ORDERの「MIND SHIFT」を完コピしたときのものがヒットしてたんで、僕らのは強みは音楽なんだとYouTubeの再生回数から逆算して見つけ出したんです。
──そんなブランディングからRADIO FISHを結成して。お二人とも歌とダンスのトレーニングはかなりされたんですか?
中田 というのがアーティストの基本的な考え方だと思うんですよ。でも僕らはそんな時間がなかったんです。普通の仕事だけでパンパンのなか、僕のわがままでこのプロジェクトを走らせたんで。すぐにダンスやボーカルのスキルは上がるかっていったら、上がらないですよ。そこで考えたのが、工夫して、歌えてるし踊れてるという風に見せてるということ。よくよく見ると、僕らはすごいダンスをしている訳でもすごいボーカル力が高い訳でもないですから(微笑)
──では、藤森さんは最初に中田さんからダンス&ボーカルユニットをやりたいと提案されたとき、正直どう思われました?
藤森 節目節目で相方がこれまでもプロジェクトを打ち出してきて、なんだかんだでそれにすべてのっかってうまく一緒にやってきて。他力本願ではないですけど、そこはすごく信頼しているからこそ足並み揃えてやってこれたんですけど。今回に関しては、いままでとはまったく違うプロジェクトだったで、歌を歌うというのは最初僕は「無理じゃねぇか」と正直思ってたんですよ。
──ああ、そうだったんですね。
藤森 でも、あっちゃんがやりたいというであれば全力でやろうという思いはあったんで、去年1年ライブをやってきて。年末に「PERFECT HUMAN」でガーンと話題を集めるようになってからは、「すげぇ!!ここまでなるとは思ってなかった」というのが僕の感想で。本当によかったと思いましたよ。相方のこの緻密なリサーチ、プランニング、いまこういう楽曲がきてるからこういうのがウケるんじゃないかという分析力…。そういったものはものすごい信頼してますから。
──あとは、それを藤森さんがどう体現していくのかということ
藤森 そうですね。その体現する部分も、「PERFECT HUMAN」に関しては「ラップは慎吾が書いてくれ」という依頼があったんですよ。僕はいままでネタというものはいっさい書いたことがなかったんですね。でも、僕は相方から「あれやってくれ」「これやってくれ」といわれるのは好きで(微笑)
──ゼロからモノを生むのが中田さんで、それを形にしていくのが藤森さんなんですね。
藤森 僕は自分から何かを作りたいという欲求は起きないんですよ。だから、そこはコンビでよかったなと思うところですね。あっちゃんがこうやって指針を打ち出してくれたなかで、自分の役割というのをもらえると。
──自分を120%発揮できる、と。
藤森 そういうやり方は得意だなというのが自分のなかに1つあるんですね。だから、ラップの歌詞に関してもすごく楽しく作れましたし。これで、あっちゃんにいままでの恩を少しでも返せたかなと(笑)
──では実際にそれを曲のなかでラップするのはどうだったんですか?
藤森 あれをラップといっていいのか僕には分からないですけど。元々ああいう歌い方は好きなんですよ。チャラ男のときもラップみたいなことをやったり、武勇伝もリズムに合わせて言葉を並べてた訳で。どれもリズムがすごく大事だったんですね。そういうものが僕、すごく好きで。
──リズムに合わせて言葉をのせるというのが?
藤森 ええ。得意なのかなとは思ってました。
中田 リズムネタって、誰でも作れるように思われちゃうんですけど。僕らが漫才に向いてないのと同様、多くの芸人さんはリズムネタに向いてないんですよ。リズムの才能に恵まれた人にしかリズムネタは作れない。彼はそういう意味でいうと、五感、声の感じも含めてすごく天性の才能を持ってるんですね。それを生かすのはラップじゃないかという仮説が僕のなかにはずっとあって。そうしたときに、スチャダラパーのBoseさんと仕事をする機会があって。
──ああ。中田さんが司会を務めていた番組『映画ちゃん』のなかで制作したアニメ(『出番ですよ!オニギリズ』)にBoseさんが本人役で声優として出演されて、主題歌(『O.N.I.G.I.R.I.』)を藤森さんと一緒にラップされてたやつですよね?
中田 ええ。そのときBoseさんに「彼は向いてるよ」といわれたんですよね。
藤森 嬉しかったですよ。Boseさんにそういわれたときは(微笑)
中田 「リズムの取り方もいいし、何といっても声がいい」と。「ラッパーに必要な才能は変な声なんだよね」とBoseさんにいわれて僕は納得したんですね。誤解を恐れずにいうと、桑田佳祐さんも井上陽水さんも特徴ある声をしてらっしゃるじゃないですか?特徴的な声は才能なんだと思って。相方は変わった声をしてるなと前から思ってたんで、Boseさんのその一言に後押しされ、やっぱりラップだと思いまして。それで藤森にラップをお願いして「PERFECT HUMAN」が生まれたんです。
──Boseさんの助言は大きかったんですか?
中田 大きかったですね。プロの方の一言は。
藤森 Boseさんには歌ってもらったものは、僕が書いたラップだったんですね。そのときに、そういうお褒めの言葉を頂いたんですごく自信につながりました。前から「やりたいな」と思って、ちょこちょこラップみたいなことは番組の企画とかでやってたんですね。それをここまで表立ってやったのは「PERFECT HUMAN」が初めてだったんですよ。
──藤森さんのラップに対する周りの反響はどうでした?
藤森 意外にも「いいね」「上手いね」と声をかけてもらって。気持ちいいなと思いましたね(微笑)。ネタは「面白いね」といってもらうのが褒め言葉なんです。もちろん「PERFECT HUMAN」も「面白いね」という感想もあるんですが、それにプラスして「上手いね」とか「カッコイイ」っていわれることはすごくありがたい言葉として受け取ってます。
──1stアルバム『PERFECT HUMAN』にはこの「PERFECT HUMAN」に至るまでに発表してきた楽曲たちが収録されている訳ですが。EDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)を基盤とした音楽をやろうというのは、いろいろリサーチした上で考えていたことなんですか?
中田 そうですね。あと、ローコストということも大きかったです。楽曲制作は“自腹”ですから(微笑)。「PERFECT HUMAN」が成功してからは正式に制作に事務所も協力してくれるようになりましたけど、それまでは楽曲制作を含めすべてが自腹。完全なるインディーズでしたから。
──PERFECT INDIES状態だった、と。
中田 はい。「もし当たったら本当に恩返しできると思うから」って、ギャラが出世払いですよ。ダンサーも音楽クリエーターも。そのなかでEDMはローコストで作れるというのがすごく大きかったです。
──なるほど。そして、デビュー作「STAR」を配信してみての反響は?
中田 話題にも何にもならなかったですよ(苦笑)。だから、以降いろいろ実験して、何が受けて何が受けないんだろうと試して。
──「PARADISE」ではちょっとバンドサウンド風な方向にしてみたり。
中田 振ってみましたね(微笑)。でも、僕はまだまだEDMを聴きたいんですよ。でも、音楽クリエーターたちは嫌がるんです。「もう古い」「海外のトレンドから外れちゃいますよ」って作りたがらないから、いやいや待ってくれと。俺らは世界のトレンドに合わせた高度な音楽を目指してる訳じゃないんだと。『ULTRA JAPAN』(日本初の都市型巨大ダンスフェス)も日本にやってきたばかりで、日本でまだ満足いくほど俺はEDM聴いてないし、何よりも俺たちはまだまだ踊りたいんだといって、無理やり作ってもらいました(笑)
──それで作った「PERFECT HUMAN」が大当たりした訳ですから。本当にスゴいですよね。
中田 これは僕の分析ですけど、色々な幸運が重なったというのが大きいと思います。だって、いい曲は世にいっぱい溢れてますから。でも、それがみんなに届くかどうかは別問題じゃないですか?この曲は、その届くルートがたまたま通れたんだと思います。あと、歌詞で何を伝えたいのかというのがはっきりしたのがこの曲だったというのも大きいです。
──歌詞の方向性がこれだけ違いますもんね。
中田 何を伝えたいのかにいきづまったんですよ。僕自身が。芸人になりたいとか、ミュージシャンになりたい、まではいいんですよ。でも、なったあとどうしたいのかというのがないと、続けられないと思うんです。音楽業界に入ってみて、ローコストで女性にも耳障りがよくてってこういうのだろうというのを何となく5曲作ってみて。あれ、俺は何がしたいんだろうと思ったとき。ただ単純に僕は僕のカッコよさだけを伝えたいだけだと思った。それで、藤森にオーダーしたんです。結局、伝えたいことは「あっちゃんカッコいい」の頃と。
──なにも変わってないんですよね。
中田 “イズム”は変わってない。それをやったら、独自性を持って受け入れられたんです。自分の苗字を入れる歌詞、しかもそれを連呼する人ってあんまりないと思うんですよ。でも、僕はやりたかった。みんなカッコつけたいからアーティストは下の名前だけにする人が多いじゃないですか?それぐらい苗字ってダサくなる。でも、それ以上に僕は自己顕示欲が強かったんで入れたんですね。自己顕示力の強さが、僕らの伝えたいこと。それが見つかったのがこの曲ということです。
──では、8月26日の赤坂BLITZのワンマンライブについても聞かせて下さい。こちらはどんなライブにしたいと思ってますか?
中田 ワンマンでやるのは去年やった渋谷クアトロ以来。とにかく盛り上がることに特化したライブをやりたいと思ってます。EDM志向の。だから、みなさんには盛り上がりに来て欲しいなと思ってます。そこには込み入った世界観は何もないので、みんなに楽しんでもらいたい。2016年の“旬”のものです。旬のものを食べるというのは非常に体にいいことですから。あのとき「PERFECT HUMAN」見たよ、と後年いえますしね。
──アルバムの曲だけでいけますかね?
中田 曲数は自信があります!赤坂BLITZに向けてめちゃくちゃ曲は作りますから。だから、半分以上は新しい曲になります。
藤森 大変だ(苦笑)
──ゲストは考えてらっしゃいますか?
中田 いまのところ考えてないです。この現象自体、名前のある有名作曲家とコラボして作ったものではないですから、そういう見せ方ではないのかなと思ってます。なので、今回はRADIO FISHだけでどこまでやれるかを見てみたいなと思ってます。
藤森 ただ(会場の)キャパがね、いままでのワンマンのなかでは一番大きくて。お笑いのライブじゃまずできないところですからね。
──そうなんですか?
藤森 できないですね。
──音楽ライブだからこそ、こういう会場でライブができると?
藤森 ええ。
中田 そこがすごく大きいんですよ。知名度でいったらゴールデンで番組やってる芸人の方があるのに、まったく知名度のないアイドルの方が武道館埋めて、知名度がある芸人は500のキャパを埋めるのにひいひいいってる。それが現実ですから。これは何なんだろうってすごく思ってました。でもそれは、演芸の中身、笑いを伝達する適切さというのもあると思うんですよ。大規模キャパシティーに向いてる/向いてないでいうと、圧倒的に音楽は向いてるんですよね。
藤森 座って観るお笑いと違って、赤坂BLITZの1階はスタンディングですし。みんなでペンライトを思いきり振ってもらって、盛り上がってもらいたいですね。
──ペンライトは必須ですか?
藤森 そう!グッズで売ってますので、それを買ってもらって。
中田 振った方が絶対盛り上がりますから。
藤森 タオルとうちわも売りますから(笑)
中田 男性アイドルとしても楽しめるんです。
藤森 楽しみ方は人それぞれですから(微笑)
中田 それぐらい大衆的ってことです。
──では最後に、RADIO FISHの音楽業界でのライバルを教えてください。
中田 ゴールデンボンバーさんですね。最初のお手本は彼らですから。彼らは音楽のなかでお笑いをやろうとした。僕らはお笑いのなかで音楽でやろうとしている。だから、ライバルというよりもすごくリスペクトしています。そのイズムを。あとはDJ OZMAさん、氣志團さん。あの人たちのイズムもそうです。そういう系譜のなかで、僕たちのことを見てもらえるととても嬉しいです。
DIV[ダイヴ] PieceS of Shogo 第1回
はじめまして!DIVのギター、将吾です。DIVと書いてダイヴと読みます!
3月16日にミニアルバム「EDR TOKYO」を発売しました!!この作品はいままでのDIVの曲よりデジタル色が強めになっていて、リード曲の「東京、熱帯夜につき」では、いままでLRでエレキギターで重ねていた音も、デジタルを際立たせる為に重ねず1本で録ったり、曲構成をEDMにしたりと、個人的にもバンド的にも色々新しい挑戦が詰まったかっこいいアルバムになってます。現在、その「EDR TOKYO」を引っさげたワンマンツアー中です。
そして今年の10月10日には、日比谷野外大音楽堂でワンマンライブをやります!是非、遊びに来て下さい!!
(1回/全3回)
JET SET BOYS、始動。高橋まこと、tatsu、友森昭一、椎名慶治という、ツワモノたちの集合体。1stアルバムリリース、初ツアーも決定!

[L→R] Vocal:椎名慶治(ex:SURFACE)/ Bass:tatsu(LÄ-PPISCH)/ Drums:高橋まこと(ex:BOØWY)/ Guitar:友森昭一(ex:AUTO-MOD、REBECCA)
JET SET BOYS、始動。高橋まこと(Dr/ex:BOØWY)、tatsu(Ba/LÄ-PPISCH)、友森昭一(Gt/ex:AUTO-MOD、REBECCA)、椎名慶治(Vo/ex:SURFACE)という、日本のロック/ポップスの歴史に名を刻む男たちが、それぞれの夢と人生をかけて集まったスーパーバンド。ファースト・アルバム『JET SET BOYS』を6月1日リリース、6月4日の東京・新宿LOFTを皮切りに、7月3日の東京・EX THEATER ROPPONGIまで、初のツアーも決まった。バンドの成り立ち、目指す音、そしてバンドの未来とは?高橋まことと椎名慶治が、その内幕を語りつくす。
インタビュー/宮本英夫
高橋まこと 椎名が宣伝部長なんで。何でも聞いてください。
椎名慶治 いやいやいや!俺ですか?
──では宣伝部長!まずはこの二人の出会いから。
椎名 実はそんなに昔でもなくて、3年ぐらい前かな。まことさんのマネージャーを通して、僕の『I & key EN』のCDを渡したのが最初なんですよ。そのあと、布袋さんがイギリスから日本に帰ってきて、品川ステラボールでライブをやることになった時に……。
高橋 ファンクラブ限定のね。
椎名 そうそう。まことさんがサポートすることになって、僕も見に行かせてもらって、楽屋でご挨拶させていただいたのが初めてです。それがきっかけで、まことさんがやっている東日本大震災の復興イベントに誘ってもらって。逆に“まことさん、僕のも手伝ってくださいよ”っていう感じで、僕の『I & key ENⅡ』に参加してもらった。
──そしてそこから、バンド結成に至るのは……。
椎名 そこからは、とても僕の口では言えないんですよ。なぜそこで、まことさんがバンドをやりたいと思った時に、僕に声をかけてくれたのか。いつから“バンドをやりたい”という芽生えが、まことさんの中にあったんですか?
高橋 そうだねぇ。ずっと何かやりたいとは思ってたんだけど、“高橋まことソロ”みたいなのは、あんまりできないから。単純に、4人の中の一人になりたかったんだよ。自分でギターを弾いて歌ったこともあるけど、バンドが一番しっくりくるんだなという思いがあったんだよな。性に合ってるんだよ。で、それをやるにはどうしようかな?って考えて、“ボーカルは椎名がいいんじゃない?”って。ギターは、震災復興のシングルを作った時にやってもらった友森がいいなと。昔から知ってるんで。その時たまたま、椎名のところで友森が弾いてたのね。
椎名 不思議な縁ですよね。僕はまず間接的に、マネージャーさんから聞いてたんですよ。“まことがもう一度バンドをやりたいと言ってるんですよ”、“あ、そうなんですね。応援しますよ”とか言ってた(笑)。僕がやるとは思ってなかったから。そしたらそのあと、“まことが“椎名はどうだ?”って言ってるんですけど”って。いやいやいや、僕なんか滅相もないですよ!って言ってたんですけど、そのあと直接“バンド組まねえか?”って電話をいただいたんで、これはシャレじゃないぞと。逃げ場ねえぞと。それで“やります!”と言ったんです。
──そこにtatsuさんが加わって、4人のメンバーが揃った。
椎名 3人で何回か打ち合わせをしてた時に、ロックだけじゃなくてファンクでも何でも、ノージャンルでいたいよねという話をして。じゃあベーシストも、どんなジャンルでもできる人がいいねと言った時に、まことさんと友森さんの共通の友人としてtatsuさんの名前が挙がったんですね。僕はお会いしたことなかったんですけど、ぴったりでしたね。レコーディングでtatsuさんのプレーを聴くと、tatsuさんでよかった!と思いますから。
──ちなみにJET SET BOYSというバンド名。誰がつけたんですか。
椎名 これは最初から決まってました。まことさんのマネージャーが言いだして、それを見てみんなが“いいな”と。第一案ですよ。いろんなところに音として飛んでいくという、意味もいいなと思ったんで。しかも、言い方は悪いけど、いい歳のオヤジたちが、ボーイズってつけるところが面白いなと。それにしても、まことさん、60歳にしてまたバンドを組みたいという意欲とか、タフですよねぇ。
高橋 いやぁ、わかんねぇけどさ。震災復興でチャリティとかをずっとやってきて、別にこのままでも普通に音楽はできないことはないんだから、とか思ってたんだけど、何か、もう一回ぐらい行ってもいいかなっていうかさ。“一生ドラム叩くからな”って言ってる以上、モチベーションを上げるためにも、やっぱりバンドのほうがいいんだよ。
椎名 ああ、そういうことですね。なるほど。
高橋 あともう一つはね、ここ数年なんだけど、60に届かずにいなくなっちゃうミュージシャンがけっこう多いんだよ。だから、動ける奴がやらなくてどうするの?っていうのが、俺の中にあったんだよね。たとえば佐久間(正英)さんとか、シーナ&ロケッツのシーナさんとか、俺たちが昔世話になってたディレクターとか、みんな60ぐらいだったから。グサッとくることが多かったんだよ、ここ数年。俺も60超えたんだから、もうひと頑張りしなきゃなって。
椎名 それでも、甘やかす気がまったくないところがこのバンドの面白いところで。エイトビートが代名詞じゃないですか、高橋まことの。なのに、全然エイトビートじゃない曲ばっかり(笑)。作曲のきっかけは友森さんが、“こんな曲作ったんだけど”って持ってきて、そこに僕が♪ラララで歌を乗せる。その時のノリがもうエイトビートじゃないんですよ。エイトビートでもすごく速かったりして、BPM180とか190ぐらい。
高橋 年寄りにはキツいよ(笑)。まあでも、できたからな。
椎名 できてますね。今まで僕が知っている高橋まことをいい意味で壊せるというか、後輩たちがいじってる。それがすごく面白い。これから先、ツアーで全曲叩くわけじゃないですか。1曲でハーハー言ってるのに、つるっと叩かせる(笑)。ここからが勝負ですよね。
──まことさんには、やりたい曲のイメージはあったんですか。それとも、みんなが出してくる曲が良ければそれでいいという感じ?
高橋 俺が叩けりゃいいやって感じ(笑)。でも、そこまでひねくれた曲はないから。
椎名 十分ひねくれてますよ、そうは言っても(笑)。聴きやすく、でもひねくれてる。そんな曲ばっかり。
高橋 レコーディングも、アナログで行こうっていうノリだったな。クリックも、最初のとこだけテンポを聞いて、演奏に入ったらクリックなし。一発録り。面白かったよ。
椎名 僕だけ現代っ子なんですよ(笑)。キャリア18年だから、アナログで録ったことのない世代。やり直しがきく世代なんです。一発でボーカルを録ることはなかなかないんですけど、やっぱり勢いのある曲って、小分けにして録ると勢いがなくなっちゃうんですよ。
高橋 そうなんだよな。
椎名 今日もレコーディングしてるんですけど、とりあえず全部歌って、どうしても直したいところだけを録り直す。そういうやり方は初めてですね。
高橋 楽器も、自分たちが演奏する以外のものは入れない。どこかで潔くしておかないと、どんどんオーバープロデュースになっちゃうんだよ。どうせライブやる時に、それはないんだから。俺は基本的に、そういうバンドでずーっとやってきたからな。BOØWYなんか、キーボードと同期とかボコボコ入ってるくせに、ライブやる時は楽器3人しかいないから。それでもちゃんとできてたというのが、俺の中にあるから。たぶんできるだろって。
椎名 そう言われたら、そうですねって言うしかない(笑)。素晴らしいです。
──ファースト・アルバムは『JET SET BOYS』。どんな作品に仕上がってますか。
椎名 今までまことさんがやってきたプレースタイルだけじゃなくて、“新たな高橋まことを引き出せたらいいよね”というのが、僕ら3人の仕掛けでもあるので。“まことさん、こんなのもやるんだ”というプレーもあるだろうし、それは友森さん、tatsuさんのプレーもしかり。椎名慶治も、ソロだけじゃ絶対聴けなかった新たな椎名慶治に出会えるし、JET SET BOYSだからこそできたサウンドになってます。
高橋 BOØWYとかDe-LAXとかで、やったことのないリズムがあるからね。今までは、“このバンドにこの音は合わないから。こっちだけやってていいよ”というのが多かったんだけど。
椎名 JET SET BOYSにはそれはない。ロック、ラテン、ファンク、何でもやります。だけどちゃんと芯が通っていて、アルバム通してとっ散らかったものになっていない。それは簡単に言うと、高橋まことが叩いてるから。友森昭一とtatsuが弾いてるから。椎名が歌ってるから。そこにほかの音が足されることがなく、4人の音だからこそブレないので、自信持ってます。初めは“大丈夫か?まとまるのか?このバンド?”と思ってたけど、ふたを開けてみたら、このバンド最強じゃね?と今は思ってるんで。
──そしてリリース後には、いよいよファースト・ツアーが始まります。
椎名 まことさん、友森さん、僕の3人は一緒にステージに立ったことはありますけど、tatsuさんも入れて、しかもオリジナルの曲でというのは、まだやったことがない。でもイメージは湧いてます。すごくシンプルになると思う。あとは、高橋まことがどこでネを上げるか。“ちょっと待ってくれ。ここでMC入れてくれ!”って(笑)
高橋 救心、救心(どうき、息切れに効くお薬)!って。
椎名 そういうの、全然ありだと思ってるんで。それぐらい、つらいライブをやりたいです。休憩なしで、勢いで行きたいです。
──ツアーは5か所ですか。
椎名 そうです。東京で始まり東京で終わる。新宿LOFTから始まるのは、スタッフのこだわりですね。自分のバンドで、高橋まことがLOFTに帰ってくるという。あとは、福島ですね。ここはまことさんの出身地ですから、やらないと。
高橋 夢だけど、武道館でもやってみたいよね。
椎名 おお~!
高橋 武道館でやると、3バンドで武道館になるんだよ。BOØWY、De-LAX、JET SET BOYSと。
椎名 でけーな、夢!いいですね!
──いいですか?それ書いちゃっても。
高橋 “やってみたい”だから。いいんじゃない?
椎名 でもそういう気持ちがなかったら、バンドを組む意味がないですからね。でも俺、ソロでも武道館に立ちたいと思ってるんで、俺が先に立ったらすいません(笑)。でも、そうですね。目指しましょう、武道館!
──めちゃめちゃ楽しみにしてます。最後にファンの方へ、メッセージをぜひ。
高橋 まだみんなに音を聴かせてないし、どんなバンドなの?というところをツアーで見てもらって、なおかつ、そこを凌駕するぐらいに頑張らないとな。“おー、すげえ!”って言われてみたいし、言わせないとダメかな。“あー、こんなもんか”じゃダメ。
椎名 僕もそれは一緒ですね。“JET SET BOYSのボーカル、椎名じゃなくてよかったんじゃね?”と言われるのだけはイヤだから。やっぱりまことさんの前にいるのは氷室京介だろ、というのは、そこはどうしてもぬぐえないけど、そこで負ける気はないし、負けたくない。その意欲が大事だと思うんですよ。結局負けたとしても、それはいいんです。でも最初から負けてもいいですと思ってやってるようじゃ、話にならない。なので、“まことさんの前に立つボーカルとして、椎名は似合うね”って、少しでもお客さんに思ってもらえるように。俺も頑張っていきますよ。
矢野顕子 40th Anniversary 第1弾“ふたりでジャンボリー”5連続ライブレポ!3日目 ゲスト:奥田民生
2016年3月31日(木) 東京グローブ座
Text:兼田達矢/Photo:Susie
矢野顕子、ソロデビュー40周年記念企画の第一弾として開催された「ふたりでジャンボリー」。スペシャルなゲストを招いた濃密濃厚な5日間の模様をお届けします!3日目のゲストは奥田民生さんです。
矢野顕子デビュー40周年企画の第1弾として実現した“ふたりでジャンボリー”、その3日目のステージである。
“ジャンボリー”という言葉を聞いて、例えばスピッツのファンならツアー・タイトルにいつも用いられるこの言葉の意味を感覚的に理解しているだろうが、どちらかと言えば耳慣れない言葉だろうから、まずはその意味を辞書で調べてみる。「飲めや歌えやの宴会、お祭り騒ぎ」ということだから、とりあえず楽しそうであることは間違いないようだけれど、でもそれを“ふたりで”やろうと言うのだから、これはちょっと野心的かもしれない。あるいは、「なかなか豪気だね」と言うべきか。逆に、こじんまりと、だからこそマニアックに盛り上がろうという企みかもしれない。しかも、お相手が1日目は石川さゆり、2日目が清水ミチコ、3日目が奥田民生、4日目が森山良子、そして5日目が大貫妙子という、硬軟織り交ぜてというか、山あり谷ありというか、とにかく一筋縄ではいかなラインナップだから、ますます期待と妄想は膨らむ。なかで、唯一の男性ゲストである奥田が登場したこの日は、結果的にはいちばん男のロマンティシズムが滲むステージになったのではないか。この日のために作られた新曲のタイトルも「父」だったし…。
それはともかく、「野ばら」つながりとは言え、奥田民生の曲にシューベルトを織り込んでしまうのは、世界広しと言えども矢野顕子だけだろう。そんな粋な紹介を受けて奥田が登場してからの後半は、奥田の曲から4曲、それに新曲「父」と矢野の代表曲「ひとつだけ」という構成で、ピックアップされた奥田の曲について矢野が語るのはその歌詞から伺える人生についての深い洞察だったのだけれど、それでもふたりの共演でまず耳が惹きつけられたのは奥田が実直に刻むアコースティック・ギターのストロークと矢野の奔放なピアノが織りなす繊細なグルーヴだった。グルーヴという言葉から連想される、うねりのようなリズムの妙に「繊細な」という形容はイメージとしては結び付けにくいかもしれないが、しかしギターの音、ピアノの音それぞれの芯の太さは屈強で、だからその二つの音の絡みはやはりグルーヴという言葉がふさわしく思われる強度を持っている。ただ、その絡み方に互いの気持ちの繊細なやりとりが見え隠れするようで、そこがなんだかスリリングであり、また心地良くも感じられのだった。


もうひとつ、このふたりが共演すると、何が歌われているか以前に、その言葉の扱い方、あるいは言葉との間合いの取り方に気持ちが惹きつけられる。40年前に矢野がデビューした当時、例えば「天才少女の恐るべき鼻唄」といったコピーで彼女の歌唱は語られたわけだけれど、そこで言われる“鼻唄性”を歌詞の内容に歌い手の情感が引っ張られていないということと解釈すれば、その意味では奥田の歌唱もなかなかに“鼻唄性”が高い。そもそも、彼は歌詞が意味ありげであることをなるべく避けようとしているし、この日もMCで「えんえんととんでいく」の冒頭の歌詞について「♪渡り鳥だ/ただがんとして/闇の中を飛んでく♪っていうのは、渡り鳥が雁だったっていうシャレなんだけど、誰も気づいてくれないんですよね」なんていう話をして笑っている人である。自身が歌う内容に浸ることなど決してなく、むしろ程よく突き放してくれるから、聞き手はその歌詞の内容をフラットに受け取ることができるのだ。
矢野の歌にしても、この日の演奏で言えば、佐野元春の「SOMEDAY」とオフコースの「YES-YES-YES」の見事な換骨奪胎ぶりがただ気持ちの赴くままに歌う鼻唄のように語られたりもするわけだが、例えば「SOMEDAY」であまりに有名な♪SOMEDAY/この胸にSOMEDAY♪というサビの歌詞をいちばん最後までとっておき、そこまでの1番と2番のヴァース・パートの歌詞を暗示的な下降旋律に乗せて歌うことで、この曲の主題である希望に向かう気持ちに奥行きのある陰影を与えてみせる。あるいは「YES-YES-YES」の主人公のノンシャランとした恋愛観に相応のさらりとした、あえて言えばかなりニヒルな演奏で、聞き手のなかに「YES-YES-YES」というリフレインを印象的に響かせる。つまりは、歌唱ではなく演奏全体として、すごく歌詞の内容に即しているわけだ。だから、歌唱と歌詞の関係だけに注目すれば、矢野の歌もまた歌詞の内容をただ抱きしめるようなことは決してない。
そうした歌を聴いた後で、奥田が登場し、先に書いたような繊細なグルーヴに乗って、例えば♪太陽がてり/道を歩き/暗くなり/うちに帰る/虫が今日も土にかえる/色とりどり/ほぼ緑♪(「フェスティバル」)という歌詞を彼が歌うと、矢野でなくても胸がキュンとなる。矢野の言い方に倣えば、まさに「ジャンボってるなあ」という感じで、つまりこの二人の組み合わせだからこその表現で、最大限に拡大されたその歌の魅力をオーディエンスは受け取るわけだ。会場全体が“ジャンボった”のは、客席を巻き込んで「えんえんととんでいく」のサビを輪唱の形で延々と続けたシーンで、この日のクライマックスのひとつと言っていいだろう。「ひとつだけ」は、奥田が演奏後に指摘したように、忌野清志郎との共演バージョンがよく知られているわけで、確かに男性ボーカリストがこの曲を矢野と歌うのはなかなかにハードルが高いだろうが、奥田が歌えばやはり独自の“矢野&奥田バージョン”が生まれ、この名曲の新しい魅力を感じさせた。そして、あのオーケストラとの共演によるPVのイメージが強い「大迷惑」は二人の掛け合いも楽しい、いなせなロックンロールとなり、ジャンボリーの名にふさわしい楽しい締めくくりとなった。
「ジャンボリーというと、夜通しのキャンプファイヤーみたいなイメージ」と矢野はMCで語ったが、奥田と二人でアンコールに応えて「ラーメン食べたい」を披露した後、一人で聴かせた「グリーンスリーブス」のインストゥルメンタルは宴の果ての穏やかな夜明けを迎えるのに最適のBGMのように感じられた。
コンサートの終わりに夜明けを感じて、会場の外に出ると東京の街は春の宵。始まりの予感のなかで40周年記念コンサートの会場を出ていけるのは、いかにも矢野顕子っぽい。フランクな会話と濃密な音楽に満ちた、まさにジャンボリーな2時間だった。
ALL OFF、「ライブバンド」を自負する彼らが、更なる高みを目指してネクスト・レヴェルへ!東名阪リリースツアー開催!
インタビュー/フジジュン
──先日、イベントでライブを見させて頂いたんですが。ライブが始まってドンと一発音が出た瞬間のインパクトからすごい強烈で。ライブが進んでいくごとに初めて見るであろうお客さんもどんどん巻き込んでいく様とか、見ていて興奮したし、「ライブバンドだなぁ!」と改めて思わされました。
(以下、so-hey[Vo.])ありがとうございます。あの日のライヴも、自分たちのやれることはやり切れたと思っているのですが。自分たちの音を外で聴くことは出来ないので、良い音だといいなと思ってやっていたので嬉しいです。
──資料によると、昔はコンプレックスになるほどライブが上手じゃなかったそうですね。
超ド下手でした。右も左も分からないままノリだけでやってたので演奏も荒かったと思うし、歌も今ほど歌えてなかったと思うし、振り返っても反省しきりで……。作品もライブを意識して作っていなかったので、どう表現して良いか分からなくて。そこからライブで魅せられる曲を作ろうと意識するようになったりして、だんだん変化し始めて。
──作品をリリースするようになって、ライブでそれをどう表現出来るか?というのは、どのバンドも経験する壁かも知れないですね。
僕たちの場合、“ライブでは音源以上の体験をさせたい”というのがあって。音源以上のクオリティで演奏するというのは当たり前で、「このバンド、音源よりも断然良い」と思ってもらえるライブをやるというのが、今も追求している課題で。ライブでたくさん失敗してきたんで、もうあの体験は二度としたくないんです。ライブで失敗した後は、打ち上げ出たくないんですよ(笑)。
──わはは。で、ライブの回数も増やして、自らを鍛えあげて。
はい。間隔が空いちゃうと、感覚を忘れちゃうので、なるべく空けずにコンスタントに入れて。毎回、“前回を越えられるように”を課題にライブに臨んでます。そうすると練習の質も変わってきて、練習の段階からかなりシビアなところまで見れるようになったら、自然とライブの最低基準が上がってきたし。結果、自分たちでも変わったと思うし、ライブを見た人に、「変わったね」と言ってもらえるようになったのが自信にもなってます。
──最新シングル「Never Gave Up」を聴かせてもらって、アニメ「へヴィーオブジェクト」のOPテーマだからこそのキャッチーさもありつつ、ライブが想像出来る曲になってます。
「へヴィーオブジェクト」OPテーマをやらせていただいた「One More Chance!!」に続いて、「2クール目もやって欲しい」とお話をいただきまして。ストレートさは残しつつ、主人公の内面や成長した部分を描きたいと思って、前作とは違うテイストで作ろうという気持ちで作り始めた曲でした。
──アニメファンからの反応も大きかった?
はい。SNSで感想を頂いたり、終わった後も「OPがALL OFFで良かった」とか好意的な言葉を頂いたり。アニメのファンにも誠実にいこうというのは決めていたので。僕らのことを知らなかった人や僕らみたいなジャンルを聴かない人も、「こんなカッコいい音楽もあるんだ」と言って下さったのはすごく嬉しかったし。僕も作品のファンだったので、3月で終わってしまったのが寂しいんです。
──ALL OFFのファンからの反応は?
今までの曲より知ってくれてる人が多い分、ライブでやっても「キターッ!」感が大きいですね。イントロが鳴って、ウォー!となるあの感じが憧れだったんですけど、「One More Chance!!」と「Never Gave Up」は今までよりも断然反応が大きいことを肌で感じているので、すごく嬉しいです。
──僕がこの曲を聴いてグッと来たのが、<こうやってメロディラインの閃光で燃え尽きるまで>と始まる後半の歌詞で。アニメに寄せつつ、ちゃんと自分たちを歌っているところがすごく良かったです。
登場人物たちの成長の過程とバンドの歩みって、どうしてもリンクする場所があって、最後はその両方を歌っているようにしたくて。ひいては「みんなも諦めずに生きてきたでしょ?」ってところまで伝われば良いなと願って書きました。間違いなく言えるのは、自分たちが思っていることや、経験してきたことしか書けないということで。特に僕は不器用なので、なかなか空想でも歌詞が書けないので。歌詞は拙くても自分の言葉で、嘘なく書けていると思います。
──曲も自分たちの積み重ねてきた物しか出せないから、ライブが想像出来る物になるし。
そうですね。やっぱり、“ライブバンド”と打ち出してやっていて、ライブに来てくれる人を裏切りたくないので。曲を聴いて来てくれたら、あとは任せてもらえれば最高に盛り上げるよという気持ちで作ってます。
──あとはアニメで知ってくれた人が、ライブに来てくれたら最高ですね。
それがこの間ワンマンをやった時、アニメを見て来てくれた人が結構いて。キッズみたいなお客さんとアニメのファンが一緒になって盛り上がってくれて、これだけ客層がカオスなバンドもなかなかいないなと思って(笑)。すごく自慢だし、嬉しかったです。
──素晴らしいです! アニメファンとロックファンがもっと上手く融合出来れば、シーン全体の底上げになると思うんですけどね。
ホントそうですね。そこは僕らのバンドに限らずで、バンドマンって「もっとライブに来てよ、絶対楽しませるから」って、思ってて。僕らも率先して交わらせたくて、今、それを実践している最中なんです。また、そこからもう一歩踏み込んで、自分たちがいつも一緒にやっているようなバンドに興味持ってもらえたら嬉しいですしね。
──シングルでは、カップリングの「Higher」、 「トモダチ」でもかなり挑戦的なこともやっていたり。ジャンルの垣根もとっぱらって、どこにでも振れるフレキシブルさがあります。
リスナーとして聴いた時、シングルのカップリングって無難な曲が多いなと思って。どうせやるなら好き嫌いハッキリ分かれるけど、聴き応えあるみたいな曲にしたくて、普通のバンドだったらやらないくらい毛色の違う曲をぶち込んだ感じでしたね。それが正解なのかは分からないけど、いま僕らがカッコいいと思うことの最新型を入れました。僕ら、これまでも節操なくやってきましたけど、ここだけは譲れないという軸の部分は常に表題曲で提示しているので。それ以外の部分で遊んでいけたらという感じです。
──では、6月に東名阪を回る『Never Gave Up Release Tour!!』についても聞かせて下さい。
最近はワンマンで回ってたんですけど、今回は自分たちが普段やっているシーンのバンドと全くやったことのないシーンのバンドと対バンにしたいねという話になって。
──そこでも普段交わらないシーンを繋ぐというのが、ひとつ目的なんですね。
そうです。自分たちだけでやってると、外から入ってくる機会が少ないのかなと思って。大阪と名古屋は普段からバチバチやってるバンドとやって。東京はアニメの方に特化したイベントにしたいと思ってSCREEN modeさんに声をかけさせていただいて。テーマがハッキリしたツアーになったのが、今回の特徴です。
──そこでさっき話したみたいに、お客さんも普段は触れないシーンに振れることで、興味が広がれば嬉しいですしね。
もちろんそうです。僕らを通じて、対バンのバンドに興味を持ってもらっても全然構わないですし。
──ツアーに向けて、バンドとしての目標やテーマを上げるとしたら?
最近は“盛り上げる”というのをテーマにしてたんですが、そこばかりを意識して、一番後ろの方まで納得させる歌唱や演奏がまだまだ足りてなかったと思うので。盛り上げるのは当たり前で、言葉や演奏を一番後ろまで届けて、納得させるというのを最高の次元で見せたいと思ってます。凄いバンドはそこがしっかり出来てると思うので、しっかり音楽をやって、本質的な部分で目立てるようにというのが今回の目標ですね。今年に入って、「俺たちは今まで貰ったチャンスを本当に活かしきれてたのか?」という話になった時、「まだまだだろう」という結論になって。「全部ぶっ壊してやり方を変えよう」と、1月に一ヶ月間ずっとリハーサルをやって。それで見ていただいたのが、先日のイベントのライブで。今は一本一本が勝負で、ひとつコケたらお終いというくらいの意識でライブをやっているので。生まれ変わったALL OFFをぜひ見に来て欲しいです。
■「Naver Gave Up」MV
SuG 「VIRGIN」ツアーファイナルで初武道館を宣言 2016.5.5(木・祝)EX THEATER ROPPONGIライブレポート
2016年5月5日(木・祝) EX THEATER ROPPONGI
Photo:近澤幸司
SuGの全国ツアーファイナル、SuG LIVE「VIRGIN」が5月5日、東京・EX THEATER ROPPONGIで行われた。そのアンコールのMCで、SuGが結成10周年を迎える来年に、日本武道館でライブを行なうことを宣言した。
SuG LIVE「VIRGIN」は、3月にリリースされたメジャー初となるミニアルバム「VIRGIN」を引っ提げて、全国18か所を巡ったワンマンツアーのファイナル公演。VIRGIN=初期衝動をテーマに据えたツアーとあって、一曲目「SICK’S」から容赦ないほどの激情をもってパフォーマンスに臨むSuG。武瑠(Vo.)は、ツアーファイナルに至るまでの17か所の道程を振り返り、「このファイナルは、どこよりも盛り上がる義務があります!」と力強くオーディエンスを煽る。
今回のツアーを経て成長したのはバンドだけではない。オーディエンスもまた、バンドのパフォーマンスに呼応するように序盤からボルテージを最高潮へと上げる。「MISSING」「sweeToxic」など新旧の人気ナンバーでは会場全体が揺れるほどの盛り上がりを見せながらも、一方で「VIRGIN」のリードを飾った切ないバラード「桜雨」では誰もが立ち尽くして音に聴き入るなど、メンバーとオーディエンスとがその場のヴァイヴスを共有し、時間と空間を作っていく。
楽器陣によるセッションを挟んで、トップスを着替えた武瑠が再登場。ここから始まった終盤戦、ツアーを経て磨き抜かれた新曲「In the shadow」「無限Styles」や、ライブでの定番チューン「HEALLYEAH」など攻撃的な楽曲を休みなく繰り出し、3月から続いたツアーのクライマックスへと向かってオーディエンスを踊らせていく。さらに、この日二度目の「SICK’S」では、MVに登場したキッズダンサーたちがステージに現れ、“ゾンビダンス”を披露する演出も。
そして本編最後を飾ったのは、ミニアルバム「VIRGIN」を象徴する楽曲「Smells Like Virgin Spirit」。サビのシンガロングが印象的なこのロック・アンセムは、まさにこのツアーを経て、オーディエンスの声によって完成させられたと言っていい。武瑠の「お前らと歌いたくてこの曲書いたんだよ!」と言う言葉通り、オーディエンスのシンガロングは、もはやこの楽曲にとって必要不可欠な構成要素となっていた。そして本編は幕を閉じた。
歓声鳴り止まぬ中始まったアンコールの一曲目は、「VIRGIN」に先駆けて新生SuGの始まりを告げたシングル「teenAge dream」。明けてのMCで、今回のツアーの思い出話の後、武瑠の口から嬉しいニュースが発表された。今年4月に開局したばかりのAbemaTVでの5月のマンスリーレギュラーが決定したという。
そしてこの日、いや、今年一番と言っても過言ではない重大な発表がなされた。周囲のバンドの解散や活動休止、シーン自体の縮小など、自らが苦境に置かれていることに触れ、その後に続いた言葉は、誰もが予想だにしていなかった。「こんな逆境だからこそ、来年10周年に挑戦します。SuG、やります。日本武道館!昨日から眠れなくて、どうしてもこの『VIRGIN』のツアーで言わなきゃいけないんじゃないかって思って。本番直前にスタッフとかメンバーに相談して、やりたい、って。そして、みんなでやろうと思いました」。震える声で、だが力強く宣言した武瑠の言葉は、夢でもでたらめでもなく、そこには真実だけがあった。
「こんな時代だからこそ、もう一度ありえない奇跡を一緒に起こそうぜ!いいか!?」。この日一番の声援で応えたファンの中には、武瑠の言葉に胸を打たれて涙を流すものも少なくなかった。
それまでとは比にならないほどの一体感の中、アンコールを駆け抜け、それでもまだオーディエンスの興奮は冷めやらず、またSuGもそれに応えてダブルアンコールに突入。最後の楽曲となった「ときどきすてきなこのせかい」を終えた後、再び武瑠が「“HEAVY POSITIVE ROCK”は“無理矢理前向き”だからさ、おれたちは逆境だからこそ挑戦します!」と高らかに叫び、大歓声を背にメンバーらはステージを後にした。
しかしサプライズはこれだけではなかった。彼らが立ち去った後、スクリーンにてさらなる発表があった。一つ目は、SuG TOUR 2016 VIRGINの追加公演。6月に台湾で、7月にメキシコとタイで、計3か国で4公演が開催されること。そして二つ目は、一昨年より開催されているコンセプトライブ「VersuS」が今年も11月に開催されること。そして最後に、1stミニアルバム「VIRGIN」に続く2ndミニアルバムが今秋リリースされることが明らかになった。SuGの挑戦にこれからも目が離せない。
矢野顕子 40th Anniversary 第1弾“ふたりでジャンボリー”5連続ライブレポ!5日目 ゲスト:大貫妙子
2016年4月3日(日) 東京グローブ座
Photo:ITABASHI JUNICHI
矢野顕子、ソロデビュー40周年記念企画の第一弾として開催された「ふたりでジャンボリー」。スペシャルなゲストを招いた濃密濃厚な5日間の模様をお届けします!ラストの5日目のゲストは大貫妙子さん。






2016年3月28日(月)★1日目★ ゲスト:石川さゆり、上妻宏光
2016年3月30日(水)★2日目★ ゲスト:清水ミチコ
2016年3月31日(木)★3日目★ ゲスト:奥田民生
2016年4月02日(土)★4日目★ ゲスト:森山良子
2016年4月03日(日)★5日目★ ゲスト:大貫妙子
「教えて!愛用品」~山中さわお(the pillows)編~
山中さわお(the pillows)の愛用品は?
編集部:山中さわおさん、愛用品を教えてください!
「ピグノーズのミニギター」
ピグノーズというメーカーのミニギターで、その名前のとおり、ツマミが豚の鼻のデザインになってます。
日本で一番メジャーなZO-3ギターと同じようなサイズなんですけど、これはスピーカー内臓で、ボリューム調節もできるし、チューニングのバランスもちゃんとしてるんですよ。
僕、ツアー中にホテルの部屋でギターを弾きたいんです。
それは触わっていたいのと曲を作りたいからなので、ほんとのギターよりも、このぐらいの大きさがちょうどいいんですよ。
ICレコーダーで録るのにもいいですしね。いま作曲はほぼ100%これでやってます。
「今日はやんないかな」という時でも持っていくと、やっぱり曲を作ったりして、それが大事な作品になったりするんですよね。
ギターのフレーズも考えるし、けっこう重要な役割を担ってます。
10何年前から使いはじめたのかな。
色違いが家にもあって、2台持ってますね。
でも考えてみたら、このミニギターで曲を作って、寝転がってガラケーで歌詞を書いたりしてるっていうね。
そう思うと、まったくロックンロール感ないですよね(笑)
あの名曲もこの名曲も、このギターから生まれるのですね。
ピグノーズさん、末永く、更なるご活躍を期待しています!
山中さわおさん、ありがとうございました!
FAN’S VOICE!>>>THE MODS TOUR 2016 “HAIL MARY” Round 1 2016.4.1(金)CLUB CITTA’
ニューアルバム『HAIL MARY』をひっさげた「THE MODS TOUR 2016“HAIL MARY”Round 1」初日の川崎CLUB CITTA’の模様をフォトレポート!60年代モッズ・サウンドをベースにしたナンバーから、高速R&R、そしてソウルフルなバラードまで、このアルバムが中心となることがアナウンスされていた “Round 1” 。デビュー35周年、何よりライヴにこだわって来たTHE MODSが届けてくれた魂の演奏は、凄まじいエネルギーを放ち、観客の魂を鼓舞していた。現在、半月板損傷の治療に専念している森山だが、ツアーは10月15日、約束の地・日比谷外大音楽堂まで発表されている!ツアー初日にご来場のFAN’S VOICEとCOOLなファッションをご覧頂き、ライヴへのカムバックを楽しみにお待ち下さい!
THE MODS TOUR 2016“HAIL MARY” Round 1
2016年4月1日(金) CLUB CITTA’
LIVE PHOTO:斉藤ユーリ

左上:Dr./Vo. 佐々木周、右上:Vo./Gt. 森山達也、左下:Ba./Vo. 北里晃一、右下:Gt./Vo. 苣木寛之
ご来場のお客様に質問!
1. THE MODSとの出会いはいつ頃、どんなきっかけ?
2. THE MODSの音楽やLIVEはどんな存在ですか?
3. THE MODSのLIVEに行くときのファッションのポイントは?
4. 本日のLIVEの感想を教えてください。
5. 35周年を迎えたメンバーにメッセージをお願いします!
ロッカホリッカーBros.

左:弟、右:兄
1.
兄:10歳くらいの頃、CMでモッズの姿が(マクセルのCM、「激しい雨が」)。高校生くらいの頃またTVからモッズの曲が(「UNDER THE GUN」)。
弟:兄に聴かされて…小2から「不良少年の詩」を聴いてました。
2.
兄:いつも支えてもらっている、明日へと向かっていける、かけがえのない存在。
弟:色々なジャンルを聴いても結局は帰ってくる存在の1つ。
3.
兄:なるべくシンプルに、基本は黒!!
4.
兄:いつものように新旧織り交ぜて…オールドファンにはタマリマセン!!
弟:ウワサに聞いていた「ゴキゲンRADIO」→「記憶喪失」、最高でした!
5.
兄:いつもありがとうございます。最後のその時までSTAY CRAZY!Let’s ROCK!!一緒にくっついていかせてもらいます。
弟:いつかは終わりが来るのだけれど…まだまだLIVEが見たいです。
Addiction store
1. 1989
2. パンクの神様
3. スリムデニム、革ジャン
4. 青春にもどった
5. おめでとうございます。これからも「ゴキゲンRADIO」!
WSHO
1. 高校生
2. 人生を共に歩んできた存在
3. 流行に流されないロックスタイル
4. 関東でのライブは毎回参加させていただいています。毎回モッズにはパワーを貰ってます!!
5. 最高~!!これからも一緒に歳を重ねていきたいです。
まめ&pk

左:まめ、右:pk
1. 30数年前、姉のすすめで。
2. 人生に必要なもの、私にとってなくてはならないもの、まっすぐな気持ちになれるもの。
3. 気合い!
4. 何年たっても変わらず元気をくれるメンバーに感謝しています!!
5. 体に気を付けて頑張ってください。
岩成康治

中央:岩成康治
1. 10代の時
2. 愛する存在
3. 普段着
4. 泣けてきます。もりやんありがとう。THE MODSありがと。
5. いつまでも愛しています。
「初めて行ったライブは?」~中田敦彦(RADIO FISH/オリエンタルラジオ)編~
RADIO FISH/オリエンタルラジオ 中田敦彦の初めて行ったライブは?
編集部:中田敦彦さん。初めて行ったライブを教えてください!
Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ@代々木第一体育館
観ててすげぇいろいろ考えました。
みんな何観てるんだろうって(微笑)
ああ、こういう工夫、こんなダンスの見せかたも音楽ライブの選択肢としてはありなんだってすごく思いましたね。
僕はすごく楽しかったんですよ。観ていて。楽しければいい。
それはPerfumeもきゃりーも観てて思ったことでした。
特にPerfumeは3人でしょ?ああいうダンスのフォーメーションとか観たことがなかったし。
トークがあまりにも自由だったので、それにも驚きました(笑)
音楽ライブって、それまで行くのに緊張感があったんですよね。
自分のカルチャーにあまりなかったから、(ライブの)見方とかに流儀があるのかなと思ってたんですけど、あんま関係ないんだというのが分かりました。
あと、棒立ちで観てるよりも体揺らして“うわ〜”っていってノリながら観てたほうが絶対に面白いというのも感じましたね。
中田敦彦さん、ありがとうございました!
RADIO FISHのステージでの魅せ方にも影響を与えそうなライブですね!
明日は藤森慎吾さんの初めて行ったライブをアップします。
氣志團メイジャー・デビュー15周年記念興行 ツッパリHigh School Musical 『氣志團學園Ⅱ ~拳の中のロックンロール~』2016.4.28(木)中野サンプラザホール ライブレポート
2016年4月28日(木) 中野サンプラザホール
Report:フジジュン
Photo:スージー
今年1月、実に3年9ヶ月ぶりとなる、オリジナル・アルバム『不良品』をリリースした氣志團。2014年リリース、月9ドラマの主題歌でもある「喧嘩上等」の大ヒット以降、「Don’t Feel,Think!!」、「幸せにしかしねーから」、そして、『仮面ライダーゴースト』の主題歌でもある「我ら思う、故に我ら在り」と、立て続けにリリースされた強力シングルもパッケージされた全18曲入りの本作は、オリコン・アルバムチャートで5位にランクイン!メイジャー・デビュー15周年イヤーを迎え、“氣志團現象、再び”とばかりに世の注目を集める彼らが、手応え十分のアルバムを提げて開催中の全国34カ所35公演を回る全国ツアー「氣志團メイジャー・デビュー15周年記念興行 ツッパリHigh School Musical『氣志團學園II ~拳の中のロックンロール~』」。本ツアーの東京公演が4月28日(木)、29日(金・祝)に中野サンプラザホールにて行われた。
「One Night Carnival」に続く、氣志團の代表曲となった「喧嘩上等」で心を掴み、「氣志團がやって来たオラ!オラ!オラ!」~「ツッパリHigh School Musical(登場編)」で幕を開けるアルバム『不良品』を聴くと分かるのだが、まるで一枚を通してひとつの物語を紡いでいるような、めくるめくGIGの世界をそのまま閉じ込めたような作品となった最新アルバム。ツアー中なので具体的な内容は書けないが、“ツッパリHigh School Musical”と冠した今ツアーは、そんなアルバム『不良品』の新曲たちを中心としたセットリストと、名誉生徒である氣志團が在籍する“氣志團學園”で巻き起こる物語が絶妙に絡みあう、“ロックンロール・ミュージカル”テイストのGIG。
“氣志團學園”とは10年前に開催され、今もファンの間で語り草となっている氣志團の全国ツアー『氣志團學園 ~愛羅武勇からはじめよう~』の舞台となった、移動型定時制ロックンロールハイスクール。綾小路 翔も「当時出来ることの全てを注ぎ込んだ」と語る伝説のツアーの続編ということで、タイトルだけで期待に胸弾ませていたKISSES(氣志團ファン)も多かったであろう今ツアー。いざ始まったツアーはその期待を十分に上回る内容になっており、サービス精神旺盛かつ、エンターテインメント性の高い氣志團のGIGは以前より定評が高かったが、その独創性と完成度の高さはツアー毎に増すばかり。歌や演奏はもちろん、演出や脚本、舞台音楽と全てに磨きがかかり、ロックバンドのライヴの枠を優に超えた唯一無二のステージを形成している。
そして今回、ステージのクオリティをこれまで以上に高めているのは、やはり『不良品』の新曲たちの存在。ひとつの物語を紡いでいるように聴こえたアルバム楽曲は生の歌や演奏、氣志團學園という設定、そして個性豊かな登場人物たちによって命が吹き込まれるようにキラキラと輝き、深い意味合いとメッセージ性をもって観る者の耳や心に響いてくるのだ。「ツッパリHigh School Musical(登場編)」でステージに惹きこまれ、あの頃の甘酸っぱい気持ちがよみがえる「16歳」にキュンキュン来て、60’sテイストの「アビイ・ロード」で懐かしい雰囲気に浸り、「我ら思う、故に我らあり」で熱く拳握る。さらにそれぞれの強烈な個性が存分に発揮されたメンバーのソロコーナーでは、大いに笑い、興奮し、涙まで誘い、綾小路の弾き語りから始まる「不良品」はたっぷり気持ちを込めた感傷的な歌詞と歌声がグッと胸に迫って感動を生み、GIGでも大きな魅せ場のひとつとなっている。
さらに特筆すべきは、現在の氣志團のバンドとしての状態の良さ。休学中の白鳥雪之丞に代わり、叶 亜樹良がサポートドラマーとして参加して約5年。GIGやアルバム制作を経て、現メンバーでの結束や絆はより強固なものとなり、ツアーが進むごとに演奏の凄まじさが増しているのが分かる。さらに鉄壁の演奏に支えられた綾小路のヴォーカル、早乙女 光のステージパフォーマンスもより強烈に光を放ち、新曲はもちろん「鉄のハート」、「愛 羅 武 勇」といったGIG定番曲も、「こんなにカッコいい曲だっけ!?」と驚かされるほど輝いて聴こえてくる。今ツアーに訪れる人は演出面はもちろん、結成20周年を目前に、氣志團史上最高のカッコ良さを見せている歌と演奏、ステージングにも注目して欲しい。
僕もすでに今ツアーは5本のGIGを見ているが、見どころ満載で何度見ても新鮮な気持ちで楽しめる氣志團の今ツアー。その日、その場所でしか観ることの出来ない特別な演出もファンには嬉しい限り。4月28日(木)の中野公演で行われたのが、前代未聞の「綾小路 翔 Birthday 予告サプライズ」(笑)。4月26日に誕生日を迎えた綾小路に、何かしらのサプライズを行うことを予告していたこの日。アンコールで登場した氣志團の演奏を中断させた星屑輝矢が、「一度始まったら、この映像は止めることが出来ない!」と綾小路に強制鑑賞させたのは、氣志團メンバーが綾小路の実家で両親に親孝行(皿洗い、玄関掃除など)をするVTR(笑)。「実家はやめろよ!」と本気で嫌がる綾小路をさらに襲った悪夢は、VTR内で綾小路の父がVTRで漏らした「ステージからの風景を見てみたい」の発言を拾って、学ラン姿でステージに登場したお父様。本気でイヤがる綾小路をよそに、氣志團の演奏で「One Night Carnival」を大熱唱!途中、ステージに上げられた綾小路との共演という微笑ましいシーンに拍手と歓声が上がる中、ダメ押しをしたのは「あれ持って来て!」の声に登場した綾小路の母。カートで運んで来た、手作りハンバーグとお赤飯をお母様に「あ~ん」して食べさせてもらい、大照れする綾小路に会場中から大爆笑が起き、予告サプライズは大成功!動揺しながらGIGを続行する綾小路を観客は温かい笑顔で見守っていた。
また翌日のMCでは7月16日(土)神奈川・ハーモニーホール座間で行われる、ツアーの追加公演が発表された。後半戦に差し掛かり、楽しい學園生活に終わりが見えて来てしまったこのツアー。二度三度と氣志團學園に入学している熱心なKISSESだけでなく、まだ氣志團のGIGを見たことのない人もぜひ入學して、この楽しすぎる學園生活を体感して欲しい。
BURNOUT SYNDROMES ベースコーラス石川の 『シャンディガフ一杯で酔える人生』第3回[最終回]
小学生の頃に持っていた夢は『宇宙飛行士になる』というものだった。中学生になってBUMP OF CHICKENに出会ってより宇宙を好きになった。そして高校生の志望校を決める大切な面談で『僕は将来は宇宙飛行士になりたいです』と担任に伝えると先生は『理系に行かないと無理だ…』と答えた。ここで僕の宇宙飛行士の夢は終わり。そう、なにも知らないまま文理選択で文系を選んでいたのだ。理系に転向してさらに1年頑張る…なんて気合もなくそのままずるずると某大学の商学部に入学した。商学部ってなんだ。宇宙飛行士の夢ってなんだったんだろう。
23歳になった今はバンドマンとして毎日を過ごしている。音楽がちょっと好きでベースを買ってもらって、メンバーに出会って始めたバンドが今も続いている。”大きなフェスに出たい”とか、”武道館でライブしたい”だとかそういうのはバンドで、3人でみてる夢だからずっとずっと強いんだ。そうか、きっとそうだ。だから僕も諦めなんてしない。これからもこの3人で音楽が続けられたらいいと思う。
こんな感じで3ヶ月担当したコラムは終わりを迎えるみたい。僕の拙い文章を最後まで読んでくれたあなたに心から感謝している。もしここで出会えたのならぜひYouTubeでもどこでもいいから僕のやっているバンドの曲を聴いてみてほしい。僕らはあなたに選ばれるのをずっと待っているから。
Ba&Cho.石川大裕
「教えて!愛用品」~加藤いづみ編~
加藤いづみの愛用品は?
編集部:加藤いづみさん、愛用品を教えてください!
「マヌカ・ハニーとココナッツオイル」
とにかく声を発することが多いので、わたしが風邪をひく場合は100%ノドからなんですよ。
自分の体調がわかるのもノドで、“うん?ノドがなんか変だな”と感じたら、要注意なんです。
だから、2年くらい前、マヌカ・ハニーが流行った頃くらいから、朝起きたら必ずうがいしてマヌカ・ハニーをひと口になめるっていう。
ライブの前とか歌う前もなめたりするし。
それで声の調子が良くなるということはないんですけど、でも殺菌効果はあるみたいだから。
で、ココナッツ・ミルクのほうは、ノドからの関連で粘膜系が弱くなることがあって、それで口内炎とかになったりするんですけど、それにはこれがいいと聞いたので毎朝なめるようにしたら、確かに口内炎にならなくなりました。
というわけで、わたしのノド/口ケアに欠かせないマヌカ・ハニーとココナッツ・ミルクでした。
高い抗菌活性力を持つマヌカ・ハニーはその他、整腸作用、創傷の治癒にも効果があるんだそうです。
自然の力、恐るべし!ですね。
加藤いづみさん、ありがとうございました!
VANIRUの一夜 VOL.03[最終回] 〜音〜【ゲスト:YOW-ROW】
皆さん、ふたたび、VANIRUのギタリスト YUTOです。
奇数日更新の『33の質問』に続く新企画、
題して、、、「VANIRUの一夜」!!
ここでは、VANIRUに関わるスペシャルな方々をお招きして、
LEOさんとゲストとのアツイ対談の模様を“3回”お送りします。
(今回もインタビュアーは僕です…)
これまで一度も話したことのない、とってもディープなお話をお届けしたいと思ってます!
それでは、スタート! お楽しみください!!
VANIRUの一夜 VOL.03[最終回] 〜音〜【ゲスト:YOW-ROW】
某日雨のない夜、都内某所ミラーボールが煌めくラウンジバーでこの対談は行われた。新曲「ISOLΛTION」のリアレンジでVANIRUとのコラボレーションに初参加したYOW-ROWの、リアレンジするときの意識と音楽にかける情熱とは何か。熱きトークは、ショウ競演へとイメージが膨らみ…
YUTO 早くも3回目、いよいよ最終回になってしまいました。最終回のゲストは、ISOLΛTIONのリアレンジをしていただいた、GARIのボーカリストで、アレンジャーのYOW-ROWさんです!(パチパチパチパチ!)僕はじめてお会いするのですが、、、
YOW-ROW 実は、昨年ライブで1回見てるのよ。VANIRUのことは、勉強不足で知らなかったんだけど、ラストの曲を聴いてたんですよね。だから初対面ではないの、ふたりのことは見てたの。楽屋でも見かけてて、大先輩が多い中でね。(笑)出会いはそれが最初。
Y 今回ISOLΛTIONのリアレンジをして頂くにあたって、僕はお会いせずにお願いするカタチだったんですが、まずVANIRUの音は、どんな印象でしたか?
YR 今回のお話をもらったときに、どんなバンドなんだろうなと思って、You Tubeでざっくり聴いて、と同時にISOLΛTIONの原曲のラフミックスも聴いて、その時点で方向性もビジョンもしっかり見えたし、それでいて、そうでないものを要求されているなというのも理解できたので、感覚的にやり易かったですね。

YOW-ROW
Y やりづらさはなかったですか?
YR いや全然!原曲はCUBE JUICEがやってて。彼とは実は同期で、デビューも同じ時期、同じセクションで一緒に頑張ってた仲間なので、ISOLΛTIONを聴くと当然CUBE JUICEと違うところに行かないとしょうがないな、と。彼の作品自体がよくできているので、どこか違う場所探しっていうのは、自分なりにすごくしましたよ。
LEONEIL もっと旋風を起こしたいな、と思ったときに、これはYOW-ROWさんだと。
YR そう。多分同じことを考えていて、僕もVANIRUというフィルターを通して、僕がやっているサウンド感が全然違うところに届くことが、新しい一つの命題だった。もちろん行きたいからやるんだろうし、気持ちは一緒でさ、お互いいい意味でシナジーしていると思うんだよね。そこの部分が音に乗っかっていると思っている。家で爆音で歌だけかけてギター弾いたり、シンセサイザー弾いたり、リズムを持ち込んでみたり、一晩二晩ずっとやり続けて着地してはいるんだよね。
Y 期待したもの、想像していた以上のものが返ってきたので、一発OKだったんですよね。
YR アーティストと関わるときに、まず何をしなきゃいけないかと言うと、依頼した人たちを驚かせないとしょうがないじゃない?同業者をどううならせていくかを考えるし、そういう仕掛けをたくさん楽曲の中に置いてある。普通に聴かす場所なんかいるものか、と思っているから。
L 音が、イカレてた(笑)。
YR 原曲とは違う世界に、同じメロディーを以てして、持って行く作業は、違う人に成り代わりながらやりますね、僕は。VANIRUでもCUBE JUICEでもない世界観に、いいものにどうやったら到達できるか、ポジション争いをする感じ。(笑)
L それがすっとカッコいいと思えるのは、コアな部分が、少なからずシンパシー感じるところが、多分お互いにあったからだろうし。深く話しをしなくても、感じ合える部分があったから。
VANIRUの世界観
Y あの曲が、YOW-ROWさんの中に何かを与えることはできましたか?
YR VANIRUの世界観というのは、本人達が意図している、していないは別として、聞く人の中には80年代とか、ニューウェーブとか、そういったところを踏んでいった音楽のように感じる人がおそらくいるであろう中で、僕は、そこから派生したダンスミュージックやEDMとか、2016年の今に引き戻す作業をしたかった。ずいぶん前のサウンドに感じるような音にあえてしているものをもう一回タイムスリップさせて、2016年の一番新しいサウンド感にしてみたかったんだよね。
Y 刺激し合って、新しい世界観を作っていけるって、いい関係ですよね!出会いは必然!
YR まさにそれは思っていて、多分全然違うところにいても、同じような価値観を持っている人は、3年後か5年後か10年後かわからないんだけど、おそらく同じところにクルんだよね。
Y 出会うタイミングが今だったのかもしれないですね。
YR 同じ感覚であれば、時間が経っていたとしても、どこかで会ってて、なんかやろうっておそらくなってただろうし、動いていただろうね。
L うん。
YR なんらかの影響を与えないと意味がないと思うの。音楽をやる上で、次の世代に、智慧をちょっとだけ持っている僕らは、何かしら与えて行くべきだと思ってて。ふたりが思う今日までの絶対とか、これがすべてだとか、音楽ってこうだよね、を覆したいとも思う。俺はずっと誰かに目覚めさせられて、昨日までの価値観を覆させられた。今でもそうだから、自分も何かのきっかけに、誰かの違う何かを開いた、そんな存在になりたいと思っている。VANIRUがやろうとしている音楽の世界観は、今の主流、王道ではないかもしれない。そこに乗っかる方が楽なんだろうけど、あえてそうするんだよね、二人は。僕は、そういう人たちって大変だなと思うけど、世の中で何かをひっくり返すのは、多分そんな人たちで。時代の中にから生まれてきた人、流れの上にいる人たちというのは、それが出来ないの。逆風を感じながらも、どうかひっくり返してほしいなと思うんです。
5分の中で1話完結。ドラマ1本をちゃんと作りたい
Y 今お話して頂いたハート感は、音から伝わってきました。聴いたときにドラマ性がすごくて、攻撃的だけど、ドラマティックな印象でしたね。
YR 僕に与えられた時間は4分5分。アルバムに8曲入る中で、僕は、YOW-ROWが関わったということを全面に示さなければ意味がない、と思うと、1曲の中で1曲じゃ足りないんだよ。5パターンくらい見せたいんですよ。8曲合わせるとどう聴こえるかは全く考えてなくて、5分の中で1話完結。ドラマ一本をちゃんと作りたいとしか考えてないから、たとえばラストのピアノの展開もあってもなくてもいい展開なんだけど、もう1曲始まったのかしらとさえ思わせたいと。
Y もう1曲始まったのかという感覚の連続で、、、
L だからあの曲、ずっと生きてて。その瞬間ずっとうごめき続けるから、もうこの瞬間は来ないんだぞという儚さと、そこに向かう攻撃力も。
YR おっ!正にそういう感じで。1コーラス目のAメロと2コーラス目のAメロとかBメロとかが、全く同じでありたくないとさえ思ったりするので、同じ展開、同じメロディーだけど、同じビートで、同じシンセサイザーで同じリズムを刻んでいるところが、ほぼない。
L 2度と来ない瞬間、生きていく感じと同じね、この1曲で。
生き続ける曲
Y 挑戦というワードが、重要なんですが、かなり挑戦的な音だったので、今のお話で納得ですね。今回歌以外は自由にという依頼だったと思うんですが、僕はギターなので、ビックリしたところがあって、確かサビのギターが謎のタイミングで入ってきて、それが衝撃的でしたね。これは仕掛けてきてるなと、ワクワクしましたね、すごく。
YR それは気づいてくれて、嬉しいね。ギターを改めて弾き直すわけではないから、サビで弾いたギターが、そこじゃない場所にいるというのが、まずギターのヤツにそう思わせたいなというのがあって。ふたりの顧客満足度しか考えてないので(笑)。ふたりが満足すれば、俺の中で、お疲れっす!、なんだよね(笑)
L これは無限だろうなと。これからまだまだあの曲も、生き続ける、きっと。あそこで完結じゃなくて完成。でも、生き続けて、まだまだ。
YR そうだね。3年後5年後、ひょっとして1年後にあの曲を聴いても、気づけることがたくさんあると思う。そういうことが起きてるんだねという気づき。楽曲の理解が深まるというよりは、もろもろのロジックが解けていく感触。
Y 僕たちと今後一緒にやってみたいことってありますか?
YR あのトラックを作ったときに思ったことだけど、クラブカルチャーにどう接していくかみたいなことの引き渡しが、僕の役目だと思ってるんだ。普通に3人で、ギター弾いてる後ろにシンセサイザー5台並べてDJ卓並べてショウやってもカッコいいと思う。バンド然としたフォーマットではなく、新しいカタチでの見せ方は、絵としても音としてもカッコいいと思うよ。さっきも言ったけど同じ価値観持ってるやつは絶対出会う、同じところに集まるんだよね。
L 1曲でさえこれだけシンパシー感じるというのは、やっぱり。関係性は、これからも続いていく。
YR ね。この時代に風穴をあけてくれ…あけていこう。
Y 熱いお話をたくさん聞かせて頂きましたが、まだ始まったばかりなので、これからもいろいろコラボできれば嬉しいです!ありがとうございました!
HOTSQUALL主催「ONION ROCK FES 2016」5/28(土)29(日) 稲毛海岸 野外音楽堂で今年も開催!良いこと言ったらご褒美に唐揚げ!?出演者による爆笑ほろ酔いクロストーク!
参加者(写真左手前から):チフネシンゴ(HOTSQUALL)、カズヤ(下北沢ReG/ONION ROCK FES実行委員長)、アカマトシノリ(HOTSQUALL)、大月義隆(UNLIMITS)、LF(THE CHERRY COKE$)、寺本英司(OVER ARM THROW)、清水葉子(UNLIMITS)、笠原健太郎(Northern19)、猪狩秀平(HEY-SMITH)
TEXT:フジジュン
PHOTO:横井明彦
──いよいよ目前に迫ってきた、『ONION ROCK FES –CHIBA DE CARNIVAL 2016-』。まずはHOTSQUALLのお二人から、現在の気持ちを聞かせて下さい。
チフネ どうしても自分の地元である千葉でフェスがやりたくてカズヤくん(下北沢ReG店長/ONION ROCK FES実行委員長)に相談して、去年1回目を開催して。みんなも面白がってくれて、すごく幸せな空間が作れたんですけど。それだけだと慣れちゃうんで、2回目以降はウチのフェスでしか出せない色を出して行きたいと思っていて。いきなり大きく変えるのは難しいと思うんですけど、“僕たちならでは”というのが少しずつ形になっていけば良いなと思ってるし、そのためにも続けていく必要があって。みなさんのお力がどうしても必要なので、今日集まっていただいたみなさんにも改めてよろしくお願いいたします! という感じです(笑)。
アカマ 全国にどんどんフェスが増えている中、僕らはライブハウス出身のバンドと一緒にフェスを作りたくて。こうして血の通ったメンツが揃えられたし、こういう集まりも出来て。すごく嬉しいし、当日が本当に楽しみです。
──昨年、1回目をやって、実際やったからこそ分かった面白さや大変さはありました?
チフネ 終わった後、すごい充実感がありましたけど、体は異常に疲れてましたね。「なんだ、この内臓の重い感じは?」って(笑)。あと、野外なので天気ひとつに物凄い左右されるし、何もないところからのスタートなので、みんなのケアをする上で行き届かない部分があって。ホストとなって進める中で、出演者の時は分からなかった部分は多かったですね。
猪狩 なんでも大丈夫ですよ、我々は(笑)。
──HEY-SMITHは『OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL』を主催しています。
猪狩 だからこそ、主催者側の気持ちはめちゃくちゃ分かるんです。ケアが行き届いていないと感じた時は悔しいし。そのフェスならではというのも絶対必要で。大阪は都会やし、フェスもいっぱいあるから、僕らもウチじゃないと出来ないみたいなことは心がけていて。例えば、ハジマザには楽屋にスナックがあるんですけど、そういうことだったり(笑)。
チフネ そのままスナックをやると真似になるから、ウチはガールズバーを作ろうかな?
猪狩 それは嬉しい!女子はいくらいても良いですから(笑)。
──わはは。Northan19も新潟で「TOKI ROCK NIIGATA」を開催しています。
笠原 はい。今年も6月に開催するんですけど、やっぱり“ならでは感”というのは出したいなと思うし、すごく考えるところなんですけれど、難しいところでもありますよね。
──なるほど。今日、いらっしゃるみなさんは今年、初出演の方ばかりなんですよね?
チフネ 昨年、前夜祭に出てもらったバンドはいるんですけど、本編は初めて出るバンドばかりです。でも結構、みんな遊びに来てくれて、会場の雰囲気は味わってもらっていて。
猪狩 僕も去年観に行って、「来年出たい!」と思って、今年、初出演する感じです。
寺本 僕らは去年、ウチのKIKUが弾き語りで前夜祭に出させてもらって、今年はぜひ本祭に出演させてもらいたいと思っていたので、すごく嬉しいです。OVER ARM THROWにとって、HOTSQUALLは同期だと思っているし、地元を盛り上げるという気持ちはすごく共感出来るし、ぜひ協力させてもらいたいと思ってます。
チフネ 嬉しいな。100点のコメントだから、唐揚げ食べていいよ!
寺本 やった、ありがとうございます(笑)。
──良いコメントが出ると、唐揚げが食べられるシステムなんだ(笑)。出られるバンドが限られてくる中で、ブッキングもすごく悩んだんじゃないですか?
チフネ そうですね。でも、逆に言ったら、今日いるメンバーは必ず呼ぶだろうと思っていたバンドばかりです。
猪狩 ブッキングする時、一番重要になるのはどんなところなの?
チフネ “自分たちで企画をやってる人たち”ですね。GOOD4NOTHINGが『SAKAI MEETING』やってたり、PANは「マスターコロシアム」をやってたり。野外とかに限らず、地元とかで主催イベントを持ってるバンドです。
猪狩 なるほど!そういうことね。
チフネ あとは僕らがどういう気持ちで誘ってるかを、色々説明しなくても理解してくれる人たちってところですね。
大月 だから僕らも声をかけていただいてすごく嬉しかったんです。去年、開催するって話を聴いた時は嬉しくもあり、呼んでもらえなかった寂しさもあったので(笑)。
カズヤ 会場の都合でHOTSQUALL含めて、一日6組しか出せないんで、その枠の中で選ばなきゃいけないのはすごく大変で。
大月 それも良く分かるんです。色んな縛りの中で決めなきゃいけないってのが分かるからこそ、呼んでもらえたのがすごく嬉しくて。
チフネ なんか愛が伝わってくるなぁ……。よし、唐揚げ一個食べてもいいよ!(笑)
LF THE CHERRY COKE$は去年、ライブハウスでやった前夜祭に呼んでいただいて。ライブハウスも大好きですけど、やはり野外でやるというのは特別なことなのですごく光栄です。あと、僕とボーカルのKATSUOくんは大田区の出身なので、「いつか大田区でフェスをやりたいね」と話していて。色々参考にさせていただければ良いなとも思っています。
清水 大田区、いいですね! 私は足立区なんで、足立区でフェスをやりたいんです(笑)。UNLIMITSも「夢幻の宴」ってイベントをずっとやっているんですけど、そこには自分たちが心からリスペクトするバンドだけを呼んでいて。HOTSQUALLに呼んでいただけたのを、すごく誇りに思います。あと、アカマちゃんはいつもセクハラが激しくて、「ビキニを着ろ」とか、よく言われるんですけど……。
アカマ おい!それ以上、余計なことをいうなら、唐揚げを口に入れろ!!(笑)
──口を塞ぐのに唐揚げを使わないで下さい!(笑)1回目の去年は、2日間で約3,000人を集める大盛況ぶりでした。
チフネ はい。僕らが背伸びして出来る、ちょうど良いくらいのキャパだったなと思っていて。すごく良い景色を見せてもらいました。
大月 大きくしたい気持ちとかあるの?
チフネ まずはあの場所でやっていることを浸透させたいから、今は考えてないかな。
カズヤ 開催する場所があるというのもすごく重要で、稲毛海岸 野外音楽堂というのが抜群の立地だったんです。駅から徒歩でも来れて、キャパもちょうど良いし、すぐ真横が海で。
アカマ 後ろが海だから、めっちゃ音を出せるんですよ。ライブハウス並みの爆音です(笑)。
猪狩 音はめっちゃ良いよね、抜けも良くて。ハジマザも大きい音出したいから、めっちゃ探しましたもん。大阪に服部緑地野外音楽堂って会場があるんですけど、あそこは音が大きいとランプが点いて音が止まるんです。で、ウチら去年、服部でやったイベントに出演した時、告知ナシで登場したらお客さんが「ワーッ!」って盛り上がって、演奏する前にランプが点いちゃったんです(笑)。
──わはははは!演奏する前に音が出なくなっちゃって(笑)。
寺本 僕も稲毛音楽堂のロケーションの良さは噂に聞いているんですけど、まだ行けてないのですごく楽しみです。
アカマ 潮干狩りも出来るよ。
寺本 あさりの味噌汁!いいね~。あさりを持ち帰って家で味噌汁を食べながらさ、「オニオンロック良かったな」と思い出すのも、サスティン(余韻)として良いよね。
チフネ 何を言ってるんだ、この人は(笑)。
──あはは。しかし、そういう場所に出会えたのも何か運命的な物を感じますね。
カズヤ 去年、大きなトラブルもなく、お客さんたちもすごくマナーが良かったので、今年はすごく進めやすいですしね。

ONION ROCK FES 2015 photo by 半田安政(showcase)
──出演バンドのみなさんは今年、出演するにあたって楽しみなことはありますか?
猪狩 あのロケーションで演奏するのも楽しみだけど、去年遊びに行った時、ケータリングのカレーが異常に美味かったので楽しみです。あれ、誰が作ってるんですか?
チフネ あれは業者です(笑)。「ウチの母のセツコです」って言ったら良い話になるけど。
アカマ 今年はカレーとハヤシライスと分けようと思って。
猪狩 それええなぁ!ハヤシライスが好きやから、めっちゃ楽しみやわ。
チフネ ちなみに打ち上げで使ってる中華料理屋もめっちゃ料理出るから、楽しみにしてて。ただ、その店の店員が全然働かないのよ!
──アハハ。なんですか、その話(笑)。
チフネ 全然働かないから、千葉の若いヤツらが総動員で料理運んだり、ビール持ってきたりして、大忙しだったんです!!(笑)
清水 あはは。私は稲毛行くのが超久しぶりで、UNLIMITSやる前は千葉ルック、柏アライブ方面でやってて、稲毛音楽堂に10代の頃に出たことがあって……。
チフネ その頃のバンド名は何ですか?
清水 “実尊”ってバンド名でした。その頃、漢字でバンド名付けるのが流行ってて(笑)。
アカマ じゃあ、当日は場所にちなんで、実尊の曲も一曲やってもらおうか?(笑)
──GW前から野外フェスが始まってたりしますが、開催時期も悩みました?
チフネ 考えましたけど、どうしてもかぶっちゃうんで、そこは仕方ないなって……。
猪狩 大丈夫っしょ。どのイベントよりも、オニオンロックが一番カッコいいっしょ!
チフネ 嬉しいなぁ!これは唐揚げ2個食べて良いよ(笑)。
──アハハ。あとは天気に恵まれて、青空の下で爆音鳴らせれば最高ですね。
チフネ そうですね。梅雨入り前、晴れるとちょっと暑いくらいの時期なので、ベストっちゃベストだと思うんですけど。
アカマ 大丈夫。このメンツなら雨が降っても、ガンガン燃えて熱いフェスになるから。
寺本 なにせ、“ホットスコール”だからね!
チフネ ……これは上手いけど、唐揚げあげられないな。ドヤ顔がちょっと腹立った(笑)。

ONION ROCK FES 2015 photo by 半田安政(showcase)
──そして、チケット代がラバーバンド購入費の1,500円のみと、安すぎますよ!
カズヤ そうなんです。そこをもうちょっと知ってもらいたいです(笑)。
猪狩 採算合ってるんですか?
カズヤ ギリです。でも儲けてもしょうがないんで、それより気軽に来てもらえる方が良いなって。
チフネ そこも“ならでは”になれば良いなと思ってて。千葉の周辺にフェスはたくさんあるので、俺ららしい規模で千葉らしさもあって、気軽に来れる値段でというのが、“オニオンロックならでは”になれば良いなって。
猪狩 オニオンロックのあの感じは、みんな来たら絶対に好きになると思うけどね。フェスやのに、ライブハウスっぽさがあるというか。オニオンロック見てたら、対バンにそれぞれのバンドが燃えてる感があって。すごい良いなと思ったし、参加したいと思った。
アカマ それは本当に嬉しいな。俺らも対バンから目が離せなくて、ずっと横で見てた(笑)。
チフネ これもやってみて分かったことなんですけど、1バンド終わって転換があって、その間の時間もお客さん同士で楽しんでて、またバンドが始まったら注目するっていう、ワンステージだからこその良さがあって。
寺本 なるほど。それって、転換も楽しませる自信があるってことで、すごいことだと思うよ!バンドがやることは、ライブハウスでもフェスでも変わらないので。呼んでるバンドにホストがそれだけ自信を持って、期待してくれてるのはすごく嬉しいし、こっちもそれに応えたいと思うし。そこにオニオンロックの良さがある気がするな。いや~、こうして話してるだけでもフェスの熱さが伝わってくるから、本当に楽しみになってきました!
猪狩 熱いなぁ、絶対唐揚げもらう気や(笑)
チフネ 唐揚げ足りるかなぁ?(笑)
──では、最後にHOTSQUALLのお二人から、『ONION ROCK FESTIVAL 2016』への意気込みを聞かせて下さい。
チフネ 2年目というところで慣れた部分もあると思うんですけど、僕らはただ面白いとお祭りを楽しむのではなく、出演者にもお客さんにも「やっぱり面白いな!」と言ってもらえるように戦っていきたいと思ってます。
アカマ 千葉を背負ってるとか、みんなが来てくれたからとか、野外だからとか良い意味で忘れて、僕らはその瞬間を思い切り楽しんで、本気でぶちかましますので。みんなは僕らに全てを委ねて、思い切り楽しんで下さい!
取材協力:下北沢art ReG cafe
「教えて!愛用品」~吉田山田編~
吉田山田の愛用品は?
編集部:吉田山田のお二人、愛用品を教えてください!
吉田結威(Gt,Vo)
「ネックレス」
知り合いのスタイリストの方に作ってもらったんです。
アクセサリーにこだわるほうではないんですけど、このネックレスを作ったときは、パーツも一緒に選んで、デザインにもこだわりました。
もう2~3年くらい付けてるので、僕の汗が染み込んでますね。
山田義孝(Vo)
「シルクハット」
ずっと前に骨董屋さんで500円のシルクハットを買ってから、いろんなハットを被るようになって。
これは知り合いのブランドのハットなんですけど、修理から戻ってきたばかりなので、いちばんきれいな状態ですね。
キャップも合わせると60個くらい持ってるんですけど、ほとんどは実家に置いてますね~。
吉田さんの胸元のネックレス、ライブやイベントでもチェックしてみます♪
修理して愛用している山田さんの帽子。愛情伝わるエピソードをありがとうございました!
ART-SCHOOLが自主レーベルから第1弾アルバムをリリース。「アンディ・ウォーホルのファクトリーみたいな場所を作れたら」この一年の動きと新作、ツアーについて、木下理樹に訊く。
自主レーベル「Warszawa-Label」を設立し、2月に新木場Studio Coastで行われたワンマンライブで本格的に活動を再開したART-SCHOOLがニューアルバム『Hello darkness, my dear friend』を発表する。「今のメンバーで、今の状態でデビューアルバムをもう一度作ろう」というテーマで制作されたアルバムは、約17年前に「木下理樹」名義で発表された初音源『TEENAGE LAST』から、「NORTH MARINE DRIVE」が再録されるなど、バンドの新たな始まりを印象づける作品となっている。この一年の動きと新作、ツアーについて、木下に話を訊いた。
インタビュー/金子厚武
──自主レーベル設立の理由について教えてください。
結局、同じことを繰り返したくないなって。どこかにまた所属して、また2年後離れてとかって繰り返しを、もうこのキャリアでしたくないなっていうのがありましたね。なので、誰と一緒にやるのか、誰だったらやってくれるのか、人選は結構慎重にやりました。重苦しい感じではなく、どうせやるなら、自分が信頼してる人たちと一緒に面白いことをやろうよっていう感じです。最終的な目標で言ったら、昔アンディ・ウォーホルがやってたファクトリーみたいな、ああいう場所を作れたらいいなっていうのがありますね。
──単なるレーベルというだけではなく、「クリエイティブチーム」という位置づけのようですね。
もちろん、音楽ありきではあるんですけど、洋服のこともちゃんとやりたかったし、マーチャンダイジングも自分たちでデザインして、将来的には、アート以外にもいいバンドがいたら、フックアップしていきたいと思います。まあ、まだ設立して一年ちょっとなので、そこはこれからなんですけどね。いろんな企業の方とも話をしたんですけど、やっぱり起業して1〜2年目はほぼ投資なんです。逆に言うと、この1〜2年目をちゃんとすれば、3年目は上向きになっていくんじゃないのかなって。まあ、果たしてこれってアーティストがしゃべるべきことなのかとか、そういう模索もあるんですけど、やるって言った以上はやっていこうと思います。
──レーベルの設立があり、アルバムの制作もあったわけで、昨年の活動休止期間も裏ではずっと動き続けていたわけですよね?
学んでいくことがすごく多かったです。これまでずっと、曲作りをします、CDを出します、宣伝をします、ツアーをやります、フェスに出ますっていうルーティーンを十何年やって来て、〈もういいよ〉って思ってたんです。でも、レーベルを始めて、最初にDVDをリリースして、そこがちゃんとできないと、自由なことはできないんだなって思いました。
──ある種のルーティーンがあった上での自由だと。
そうですね。自分が代表になることで、これまで見えてなかったお金の流れとかも透明になって、〈そういうことか〉って、いろいろ学んで、それから曲作り期間に入っていくわけです。
──レーベルの体制作りの一方での制作ということで、曲作りの方法にも変化がありましたか?
メンバーみんなそれぞれ忙しかったし、リハも何回も何回も入る余裕がなかったので、僕がまず曲を8割ぐらいまで作り込んで、それをメンバーに渡して、そこからバンドサウンドに消化していく感じでした。
──もちろんできあがったものはバンドサウンドですけど、ストリングスをはじめ、メンバー4人以外の音がたくさん入っているので、ちょっと宅録っぽさを感じたんですよね。
休止期間はロック以外の音楽にも触れてみようと思って、よくクラシックを聴いてました。あと『ペット・サウンズ』は、ひと夏取り憑かれたかのように毎日聴いてました。
──The Beach Boysはもともとお好きだったんですか?
The Beach Boysも『ペット・サウンズ』ももともと好きだったんですけど、クラシックを聴いた流れもあって、〈これってどうやって作られてるんだろう?〉っていう、音楽的に理解したくて、それで聴いてました。それがアルバムにも無意識に反映されてるのかもしれないです。
──ロックは全然聴いてなかったんですか?
クラシックに疲れたときは、EnvyとかNapalm Deathを聴いてました(笑)
──極端ですね(笑)
前作の『YOU』が結構それまでの集大成的な作品だったので、何か新しいものとか、これまでも聴いてはいたけど、深くは掘り下げてなかったものを掘り下げてみようと思って。
──クラシックはどんなのを聴いていたんですか?
幅広く聴いてたんですけど、一番自分の中ではシューベルトがよかったです。シューベルトの言葉で、〈悲しくなければ、それは音楽ではない〉って言葉があって、すごいこと言うなって思って。でも、その感覚もハマったし、あと聴いててどうやって作ったか見えないっていうか、不明瞭で、そこは『ペット・サウンズ』にも通じる部分。昔『ラヴレス』を聴いて、〈どうやって作ったのかな?〉って思った、あの感覚を取り戻したかったっていうのもありますね。
──資料によると、「今のメンバーで、今の状態でデビューアルバムをもう一度作ろう」というテーマがあったようですが、先ほどおっしゃったように、前作が集大成的な作品だっただけに、自然と今回はもう一度デビューアルバムを作るような感覚になったのでしょうか?
今のメンバーでメロウな方向の作品を作ったことはなかったので、そういうのを作りたいと思いました。そうなると、ソングライティングのセンスが問われるので、自分の中のハードルを高く設定して作っていったんです。静かな中にあるドラマっていうか、ループ感の中にあるうごめいてるものというか、そういう感じを目指しましたね。作ってるときはほんとに気が狂ったかのように打ち込みばっかりしてて、そのデモをスタジオでエンジニアさんと一緒にブラッシュアップしていったんです。
──まさに、ブライアン・ウィルソンのような状態になりかけたと(笑)。楽曲的には作り込まれている一方で、録音はある種のラフさを残してあるというか、まとめすぎないことを意識しているような印象を受けました。
余白を残すっていうのはひとつありました。僕が普段聴く音楽は、わりと隙間が多い音楽が多くて、例えば、D.A.N.のアルバムはめちゃめちゃ良くて、隙間の作り方上手だなって。
──確かに、その隙間感やループ感は今回のアルバムにもありますね。
僕が個人的に作るんだったら、もっと隙間だらけになると思う。でも、やっぱりART-SCHOOLなので、あえて隙間を埋めた部分もありますね。メンバーみんな一流だから、それに対して僕が応えられるのって、曲だったり、詞だったり、世界観でしかないと思ったし、デビューアルバムみたいなものを作りたいっていうのもあらかじめ話して、新鮮な気持ちで作れました。
──世界観としては、「シェルター」「コクーン」などがキーワードになっていたようですね。
ジャケットとかタイトルも含め、全体的にどういうものを作りたいのかを決めてから作るタイプなんですけど、〈シェルター〉とか〈コクーン〉って、アートはそれをずっとやり続けて来たバンドだとは思うんです。でも、今回はそれをさらに優しくというか、もっと包み込んであげたというか、そういう思いがありました。
──その背景として、今の世の中の社会不安も関わっていると言えますか?
それはありますよね。大人が子供を守らない時代ですから。ホントに聞くに堪えないニュースがあまりにも多いなって思うんです。特に、子供たちに関して。おっさんとかはどうでもいいんです。自分が救われたのは音楽があったからで、音楽がなかったら、僕は絶対死んでたと思う。だから、今生きづらさを感じてる人がいたら、同じように感じてるバンドがいるぜっていうことを、ちゃんともう一回言っておきたかったのかなって思いますね。
──では最後に、6月から始まるツアーについての展望を話していただけますか?
とりあえず、物販を買ってほしい(笑)
──レーベル代表としては、大事なポイントですね(笑)
まあ、それは冗談として、この作品を気に入ってくれた人、あるいは昔から応援してくれてる人をがっかりさせるようなものには絶対ならないと思います。メロトロンの音がするエフェクターとか、機材も買い揃えましたしね。作品のリアクションが直接得られるのはやっぱり現場だけなので、それを見るのも楽しみです。
──そして、ツアーファイナルの翌日にあたる7月10日には、ART-SCHOOLとTHE NOVEMBERSの共催企画「KINOSHITA NIGHT×首」が開催されるそうですね。ART-SCHOOLとTHE NOVEMBERSの共催というのは、個人的にも感慨深いです。
きっと美学が似てるんじゃないかな。僕らのライブを見て、〈こういうバンドがやりたい〉って、バンドを始めてくれたらすごく嬉しいし、THE NOVEMBERSも自主でやってるから、〈消費されなかったぞ〉っていう感慨もありますね。サイクルが早いって結構前から言われてる中で、そのサイクルを避けて、独立して、こうやって再会できるっていうのは、嬉しいですよね。僕もどんな夜になるか楽しみです。出番が終わったら酔っぱらおうかと思ってます(笑)
■ART-SCHOOL 8thフルアルバム、「Hello darkness, my dear friend」トレイラーを公開!
あゆみくりかまき「解体新書」 第1回
関西の森から降りてきた、歌うたいのあゆみ・DJのくりか・盛り上げ役のまきのクマ3頭からなる【あゆみくりかまき】とは?彼女達、いやメス熊の魅力に迫る!
Q.皆さんは熊なんですか?
あゆみくりかまき 私たち生まれた時から熊なんです!
Q. 「歌うたい」・「DJ」はわかりますが、「盛り上げ役」とは?
まき ライブ中お客さんを誘導して、初めての方も一緒に楽しめるようにする役目なんです!
あとは楽屋の盛り上げ役でもあります(笑)
Q.ファンの皆さんを「またぎ」と呼ぶみたいですが…
あゆみ その名の通り、熊を狩猟する人のことですね(笑)
きちんと意味があって、あゆみくりかまきを追いかけて一緒に夢に向かって走るという深い意味が込められているんです!!
Q.あゆみくりかまきの魅力を教えてください!
くりか 私たちは見た目でよくゆるキャラに見られがちなんですけど、ライブパフォーマンスはどのグループよりも熱い自信があります!
よくアイドルじゃないくらい激しいねって言われます(笑)。そして私たちアイドルパンクDJユニットなので、サウンドにもこだわっていて、今回のアルバムのほとんどの楽曲を演奏していただいているのがGt. PABLO/Ba.4106xxx(SCAFULL KING/BRAZILIANSIZE)/Dr.MASUO(BACK DROP BOMB)の皆さんなんです!
Q.夏からワンマンライブツアー ボクらの熊魂2016~ここで一句!『東名阪 仙台広島 まわるんやぁ』~が開催されるようですが、タイトルにある「熊魂」とはどういう意味が込められているのでしょうか?
あゆみ 日頃、表に出せない内に秘めた感情を私たちは「熊魂」と呼んでいます。誰もが秘めている「本能」ですね!私たちのライブでは全部解放してもらいたいんです!
まき 是非ライブで、みんなの「熊魂」を解放しに来てほしいですね。
PUFFY デビュー20周年を奥田民生も祝福!総ざらいの記念ライブをレポート!2016.5.14(土)豊洲PIT
2016年5月14日(土) 豊洲PIT
Report:兵庫慎司
Photo:鈴木恵
デビュー20周年記念ベストアルバム『非脱力派宣言』のリリース・ツアー『20th Anniversary PUFFY TOURSITS社で行く PUFFYTOURS EPISODE 0』のファイナル。
ツアータイトルやこのツアーのビジュアルに即して、飛行機での旅がコンセプトになっている。開演前のふたりによる影アナが離陸前の機内放送の体で、「途中退出は乗務員のメンタルを傷つけますので、ご遠慮くださいますようお願い申し上げます」などと、ギャグが多数ぶちこまれており、場内から何度も笑いが起こる。
そして、フジタユウスケ(g)、木下裕晴(b)、川西幸一(ds)、一時バンドから離れていたが戻ってきた渡辺シュンスケ(key)、PUFFYのふたりと共に、ゲストの奥田民生もオンステージ。「アジアの純真」から「愛のしるし」までの頭5曲をそのメンツでプレイ。
5曲を終え、奥田が「もう帰るよ」と去り、「私たち、昨日20歳を迎えました」「ここにいる誰も、PUFFYが20年も続くと思ってなかったと思う。私たちも思ってなかった」「でも続けるといいことあるね」というMCから、再び曲へ。
このライブ、『非脱力派宣言』の1曲目からラストまでの34曲を、ショート・バージョンにしたりしつつ順番どおりにやる、つまり本当にPUFFYの20年を聴かせていき、見せていく選曲になっている。なので、1コーラスとか2コーラスで曲が終わって、はい次の曲、みたいなめまぐるしいくらいのスピードで、PUFFYの歴史を作ってきた名曲たちが次から次へと演奏され、歌われていく。
というだけでもすごい情報量なのに、9曲目「夢のために」で渡辺シュンスケがピアノソロを聴かせたり、10曲目「海へと」をアコースティックでプレイしたりと、さらに聴きどころ・観どころ、いっぱいある。
17曲目、つまりベストアルバムでいうと1枚目のラストである「モグラライク」が終わったところで、吉村由美、「なんでここでMCではさんでるかというと、ここでディスクチェンジするわけですよ」と言い、カウベルを叩きながら「boom boom beat」が始まり、後半戦に突入。
19曲目「オリエンタル・ダイヤモンド」では吉村由美がシンセを弾いたり、次の「くちびるモーション」では大貫亜美が赤いフライングVを弾いたりしつつライブが進んでいき、24曲目のチバユウスケ提供曲「誰かが」では、ステージ後方の映像内にリリックが映し出される。PUFFYにしてはシリアス、チバにしてはわかりやすく前向きでやさしいメッセージが綴られたこの曲が(人に提供する曲だから書けたのだと思う)、中盤のハイライトだったと思う。「いい曲! いや、そんなこと知ってたけど、それにしてもいい曲!」みたいな感動が、フロアに渦巻いているように感じられた。
後半は「ハッピーバースデイ」で始まり、石野卓球が提供した「トモダチのわお!」、ROLLYの曲でレーベル移籍の間に配信リリースされた「秘密のギミーキャット~うふふ本当よ~」、きらびやかなシンセが鳴り響くアッパーな「パフィピポ山」などを経て、ベスト盤に収められたフラワーカンパニーズ提供の未発表曲「涙を探して」で本編シメ。
アンコールでは、フジテレビ『久保みねヒャダ こじらせナイト』とコラボした新曲「抱きたきゃ抱けばEじゃNIGHT☆」をアッパーに、そしてやや下品に披露(そういう歌詞なので)。そして、「待ったー」「ヒマだったー」とか言いながら奥田民生が再び加わり、デビューシングル「アジアの純真」の次にリリースされたミニアルバム『amiyumi』の1曲目であり、PUFFYとして初めてレコーディングした曲であるという「とくするからだ」で、終了した。
最初のMCで、「自分たちでも20年続くとは思っていなかった」と言っていたことは先に書いたが、途中のMCで吉村由美は「続けるのっていちばん大変だってことに、10年めくらいで気づいた」とも言った。そのあと話を振られた川西幸一は「僕は途中で(ユニコーンを)やめてますけどね」と返し、笑いが起きて終わったのでその由美の発言はさらっと流れた感じになったが、個人的にはそれが、最後まで強く印象に残った。
それから。20年続いたこともすごいけど、キャラやたたずまいや存在感が最初と変わっていない、つまりブレていないことの方がもっとすごい、と、観ながら、改めて思った。
マイペースで、肩の力が抜けていて、なんかダラッとしていて、決してシリアスにならず(というキャラ、PUFFY登場当時の音楽シーンにおいて完全なるカウンターだった)、大ヒットを飛ばしたりキャリアを重ねたりしても大物風を吹かせず、偉そうにもならず……あ、でも、なめられたり軽んじられたりすることはさすがになくなったんじゃないかと思うが、でもやっぱりPUFFYは変わらない。
アメリカ進出したり、さまざまなアーティストとコラボしたり、私生活ではそれぞれ母親になったり……つまり「特に変わるべき何かがなかったから変わらなかった」のではない。特に何度にも及ぶアメリカ・ツアーを経験して変わらないはずなどないが、それでも「楽しいからやってますー」みたいな空気を崩すことがない。これって、偉くなっていったりどっしり落ち着いていったりシリアスになっていったりすることよりも、よっぽど難しくて、よっぽどすげえことなんじゃないか。
なお、終演後、9月から10月にかけて全7本のデビュー20周年記念ホールツアー『20th Anniversary PUFFY TOURSITS社で行く PUFFYTOURS ホールで覚醒』を行うことと、12月4日に東京ドームシティホールでデビュー20周年記念PUFFY主催イベント『PUFFY 20th THE FINAL 「PAPAPAPA PARTY 2016」』を行うことが発表された。
前者は、2本目に台湾も入っています。後者は、「亜美と由美が、20年のコネを駆使してゲストブッキング中」だそうです。いずれも楽しみです。